雇用や個人消費に回復は見られるものの欧州金融不安もあり、波乱含みの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月26日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10841.21△5.06

<NASDAQ>2397.41▼1.35

<為替:NY終値>92.71-92.77

雇用や個人消費に回復は見られるものの欧州金融不安もあり、波乱含みの展開

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想を下回り、雇用の改善が見られたことや予想を上回る決算や業績予想が相次いだことから堅調となりました。注目されたギリシャ問題も支援策が明示されたことが好感され、FRB(連邦準備理事会)議長の緩和的な政策が必要とのコメントが伝わるなど好材料が多く堅調な地合いとなりました。ただ、国債入札が予想を下回り、金利が上昇となったことや午後になってECB(欧州中央銀行)総裁がIMF(国際通貨基金)を含む域外からの支援に難色を示してユーロが対ドルで売られ、連れて、商品市況が下落となったこと、また、目先的な過熱感もあり、一気に手仕舞い売りやヘッジ売りに押され、結局はダウ平均は横ばい、ナスダック指数は小幅安となりました。

 景気回復、企業業績の回復ははっきりとして来たのですが、ギリシャ問題などに見られるような欧州各国での金融不安や国債入札の不調に見られるような金利の上昇が足を引っ張る格好となっています。「サブプライム問題」に見られるように、一つの金融不安が世界的な不安に広がる可能性が否定できないことで、疑心暗鬼になっているようです。ただ、足元の景気回復もいよいよ雇用や個人消費の改善にまで及んでおり、後は住宅関連の回復ということになりそうです。FRB議長のコメントで出口戦略がすぐに取り沙汰されるという不安は払拭されましたが、商品市況の上昇や住宅関連指標の改善が見られればすぐに「出口戦略」が気になるものと思います。当面は目先的な過熱感もあり、上値の重い展開が続くものと思います。

 個別には予想を上回る決算と業績見通しを発表して買われ、大幅高、アマゾン・ドット・コムやイーベイも証券会社の好評価や投資判断の引き上げを受けて高くなりました。銀行株もバンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースに続いてシティグループが住宅ローンの条件緩和を発表して買われ、総じて堅調となりました。原油価格は一時堅調となったのですが最後は売られ、シェブロンやエクソン・モービルといった石油株は軟調、金は堅調でしたが、商品市況の下落を受けてパブリック・ゴールドやニューモント・マイニングは安く、アルコアなどの素材株も軟調となりました。ハイテク銘柄は景気回復を織り込むように堅調なものが多く、インテル、アップルは利益確定売りに押されたものの、マイクロソフト、グーグル、IBMなどは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株は軟調でしたが、為替が円安に振れたことや外国人が買い越しと伝えられたことなどもあって買い先行で始まり堅調となりました。ただ、期末を意識した持高調整の売りや目先的な過熱感から利益確定売りを急ぐ動きなどもあり、後場に入って一時軟調となるなど上値の重い展開となりました。先行きに対する懸念があるというわけでもなく、売り急ぐ動きなどはないのですが、買い戻しを急ぐ動きもなく方向感なく小動きとなりました。

 米国市場は冴えない展開となり、欧州金融不安は拭いきれないものの為替が円安に振れたことから、堅調な展開が期待されます。期末最終売買日ということや月末、週末と言うこと、また、目先的な過熱感もあることから、手仕舞い売りなどに押されて上値も限定的となりそうですが、米国でも個人消費や雇用まで景気の回復が見られることなどから、輸出関連銘柄などを中心に堅調な展開が期待されます。また、自動車業界を中心に業界再編の話題もあり、いろいろな思惑から買われる銘柄も見られそうです。持高調整の売り買いがどの程度出てくるのか、また、指数の過熱感を冷ますように物色対象が絞りきれるのかどうかも注目されます。

 円安を好感して指数に影響の大きな値がさハイテク銘柄などが物色されれば指数は上値を試すようなところまで上昇となる可能性もありそうです。期末の受け渡し最終売買日ということで、持高調整の売り買いがどの程度出てくるかで指数の動きも変わりそうですが、引き続き1月高値を意識しつつも10800円前後での底堅さを確認しながら、10800円から900円水準での上値の重さを確認するような展開となるものと思います。堅調ながらも上値の重い展開ということで、10800円前後では底堅く、10900円に突っかける、あるいは超えるようなところでは上値も重くなりそうです。

本日の注目点

◇2月の全国消費者物価指数(総務省)

◇2月期決算:ジーンズメイト(7448)

◇6−2月期決算:日本オラクル(4716)、日本化薬(4272)

◇10−12月期の米GDP(確定値):2月の改定値は、前期に比べ年率換算(季節調整済み)で5.9%増

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