技術を学ぶべきか、資格を取得すべきか、迷っています岡村社長に“働く”について聞いてきた

» 2010年03月25日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 企業のトップに、読者からのさまざまな悩みについて答えてもらうシリーズ「“働く”について聞いてきた」。今後のステップアップにどのようなことをすればいいのか、という質問に対し、リーブ21の岡村勝正社長はどのようなアドバイスを送ったのだろうか。

28歳 男性Nさん

ひと通り現在の業務はそつなくこなせていますが、ただそれだけではもの足りないとも感じています。今後のステップアップを考えると、今やっている仕事に直結する技術を学ぶべきか、語学学習や資格取得などをすべきか悩んでいます。前者を選択したほうが、手早く仕事の幅は広げられるかもしれませんが、後者の場合、思いがけない別の仕事が舞い込むチャンスが広がると思います。どちらを選択すべきでしょうか。また、社長として、どちらを選択する部下をより評価しますか。


まずは目の前の課題に取り組む

リーブ21の岡村勝正社長

 Nさんは「とにかく知識を習得したい」と前向きに考えられているようですね。しかしどちらかを選択すれば、よりよい結果が得られるというものではないと思います。どちらを選んでも、取り組み方によって結果は決まってくるのではないでしょうか。ただNさんの年齢からすればいまの仕事にエネルギーを集中し、もしどうしてもうまくいかなくなった段階で、ほかのことに取り組んでみても十分間に合うと思います。

 ちなみに私はクリーニング「サンドライ」の経営に携わっていたとき、従業員から「永久歯が二度生えてきた」という話を聞きました。抜けた永久歯を再び生えさせるのは難しいが、髪の毛ならなんとかなるかもしれない。脱毛や薄毛を治すことならできるのではないだろうか、と思いました。そこでクリーニング店を営みながら、髪の研究をスタート。専門家などの意見を取り入れ、46歳のときに発毛システムを完成させ、48歳のときに「リーブ21」を設立しました。

 Nさんも先のことをしっかり考えることは大切です。しかし「要領よく働けば仕事もうまくいく」と考えない方がいいでしょう。いろいろなことを学ぶことは悪くはありません。しかし資格やスキルといったものがどう役立つかを予測するのは、かなり困難なことです。まずは目の前の課題にしっかりと取り組み、成果を出すことを優先すべきではないでしょうか。

岡村勝正 (おかむら・かつまさ)

1945年生まれ。1970年に自動車修理業「岡村板金」を設立。72年にクリーニング業「サンドライ」設立し、78年にはサンドライのFC店舗は 70店、年商は5億円となる。76年から「抜け毛・脱毛」を改善するための研究を始め、91年には発毛システムを完成させる。そして93年に毛髪クリニックリーブ21を設立をし、2001年からは世界で唯一のコンテスト「発毛日本一コンテスト」を毎年開催。現在は全国102カ所に店舗を展開する。経営のほか、CM制作などの宣伝、新規事業に幅広く携わる。


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