新たな時代に入る「FeliCaとおサイフケータイ」。次の注目分野は?神尾寿の時事日想・特別編(2/3 ページ)

» 2010年03月24日 18時00分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 そのような中で、今年のIC CARD WORLDで重要なテーマになったのが、「交通ICと電子マネー以外の新たな用途」だった。この傾向は電子クーポンの展示が盛んだった昨年のIC CARD WORLDから現れていたが、今年はそれがさらに進んでいた。

 なかでも来場者の注目が集まっていたのが、ソニーブースで展示されていた「FeliCa Plug」と「FeliCa Lite」である(参照記事)

 前者はさまざまな電子機器に組み込んで使うFeliCa用の通信モジュールだ。これを使うと、組み込んだ電子機器とおサイフケータイの間で“かざすだけ”で認証やデータ通信ができるようになる。ソニーブースでは体重計や婦人用体温計にFeliCa Plugを組み込み、測定したデータをおサイフケータイに転送。ケータイのアプリとサーバーでヘルスケア情報を管理するというデモンストレーションを行っていた。

FeliCa Plugを用いたヘルスケア機器のデモ。写真は、FeliCa Plugを組み込んだ体重計
小さなモジュールなので、歩数計や体温計などにも組み込める。データの読み取りはおサイフケータイで行える

 一方、後者のFeliCa Liteは、薄くて安価な簡易型のFeliCaチップだ。機能は限定的だが、コストが「使い捨てできるくらい安い」(ソニー)ので、従来のFeliCaカードのような再利用を前提にしなくてすむ。会員証やチケット、スマートポスター、商品タグなど、これまでのFeliCaカードだとコスト的に採算が合わなかった用途での利用が想定されている。

FeliCa Liteは低コストで小型なので、チケットや会員証などにも利用できる。照明に透かすと、薄くFeliCaチップが見える
FeliCa Lite対応のプリンター。これを使うと、FeliCa Lite内にデータを書き込んだ上で、紙のチケットにFeliCa Liteを挟み込んで印刷できる。これでチケットを発券すれば、偽造防止とスムーズな入場確認ができるようになるという

FeliCa Liteは雑誌の付録に使うこともできる。紙媒体と携帯サイトの連携が低コストで実現できるのも魅力だ

 なお、FeliCa Lite内の情報は、おサイフケータイ用に開発中の「タグリーダー」というアプリを使えば読み取れる。新たにリーダーを買い足さなくても、すでに広く普及しているおサイフケータイが使え、しかも“かざせばOK”という手軽さなのもFeliCa Liteのメリットだ。


FeliCa Liteを用いたスマートポスター。ポスター内にFeliCa Liteが入っており、おサイフケータイの専用アプリを使うと、ポスターの内容に応じた専用サイトに接続できる

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