米国株高を好感して買い先行となるも持高調整の売りに押されて上値の重い展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年03月24日 16時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が堅調となった割りに上値の重い展開となりました。昨日までは持高調整の買い戻しも多く目立ちませんでしたが、持高調整の売り買いが中心と見られる相場の中で、昨日の買戻しの反動から大きく売られる銘柄も見られ、指数の上値を押さえる要因となったものと思われます。為替や海外市場の動向などよりも目先的な需給に振らされているものと思われます。

 いつもこのコラムで述べていることの一つに、市場で起きていることを一つの事象で表すことは出来ないということがあります。昨日の相場も「ユーロが安いから売られた」などと言うコメントも見られましたが、ユーロの影響の大きな銘柄でもしっかりと上昇している銘柄も多く、相場の上値の重かった理由ではありません。もっともらしくしたり顔で述べている向きもいるようですが、いつも言っているように「市場で何が起きているのか」を見れば、昨日高い銘柄が本日安い理由も、昨日安かったものが同じようにユーロが安いのにも買われている理由がわかるのではないかと思います。

 常々述べていることですが、市場で何か起こっているのか、誰が何をしているのかを見極めることが「次」の自分の行動の参考になるのではないかと思います。日経平均の予測が外れても、買わなければならないところでは買わなければうまく行かず、日経平均が高かろうが安かろうが売られければならないときは売らなければならないのです。3月は本来であれば、持高調整の売りや持合解消の売りが嵩んで安いことが多いのですが、今年は早々と売りが出ていたことや、日銀の金融緩和で持高調整の売りを持ち越した可能性もありそうです。

 3月期末までに「売らなければならない」株が金融緩和によって、「まだ持っていることが出来る」ということになったものもあり、売りが少なかったことで、空売りが入らなかったことで、指数の値持ちが良かったのかもしれません。また、過熱感が強い中で、昨日などは特に理由もないのに大きく買い上がられていた銘柄もあり、それなどは過熱感があろうがなかろうが、期末までに「買わなければならなかった」のかもしれません。そして、株価水準や過熱感などに関わらず買わなければならないような買いが入った後は誰も買う人がいなくなって、好材料が出たとしてもちょっとした売りに押されてしまうものなのです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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