ドイツで、ソーラーエネルギーが見直されている理由松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年03月23日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

 我々はソーラーエネルギー技術開発のため、研究分野に年間4000万ユーロを補助しています。これにより太陽電池の発電効率をアップさせ、生産コストの削減が実現されます。世界市場におけるドイツ企業の競争力強化のため生産コスト削減は非常に重要です。しかしながら、過度の価格競争に陥るのではなく、技術的に世界の最先端をいくことがドイツの強みであり、これこそがドイツのソーラー産業の持続可能な将来を約束します」

※出典:ドイツ環境相Dr.ノルベルト・ロットゲンの寄稿から(ドイツ環境省の月刊誌“Umwelt〈環境〉2010年3月号”)

ソーラー発電、3つのポイント

 ソーラーエネルギー政策を検討する場合、次に挙げる3つのポイントを考慮する必要がある。この点を押さえた上で、もう一度環境相の寄稿を読み直してほしい。

ポイント1:「太陽光発電は再生可能エネルギーであり、発電に伴う二酸化炭素や廃棄物の発生がないクリーンエネルギーである」

 ドイツの再生可能エネルギー電力はすでに国内総電力の15%を超え、今後も着実な伸びが予想されている。改めて書くまでもなく、再生可能エネルギーは二酸化炭素排出削減の切り札である。

ポイント2:「太陽光発電は新たな成長産業であり、雇用を生み出す」

 ドイツの太陽電池導入量は、累積で世界第1位を誇る。国内の約100社が太陽発電設備を生産し、その産業規模は900億ユーロ。6万人が生産に従事するほか、販売、施工、管理などの関連産業を含めれば20万人以上がソーラービジネスに従事している。ソーラーエネルギーをはじめとする再生可能エネルギー産業の将来性にいち早く着目し、世界に先駆けてソーラー産業育成に乗り出した先見性と実行力が環境大国たるドイツの実力である。

農場の屋根に設置された太陽電池

ポイント3:「再生可能エネルギー法(EEG)が支えるソーラー産業の成長」

 ドイツの再生可能エネルギー電力は、EEGにより売電価格が保障されている。売電価格は電力市場価格より割高に設定されており、計算上は設備投資額を15年程度で回収できる。フィードインタリフ制度と呼ばれるこの助成制度により、再生可能エネルギー開発は爆発的な成長を果たしている。

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