人事異動の辞令が出た……そのときあなたはどうするべきか吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年03月19日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 人事異動の時期だ――。嫌いな奴が違う部署に移ったり、厳しいと噂される上司が新たに来ることになったりと、多くの人が一喜一憂していることだろう。

 会社員のころの私は、特に30歳のときは憎しみに近い感情を持っていた上司がいた。異動のシーズンになると、その上司が「どこかに飛ばされろ!」と願っていた。そしたら、なぜか自分が飛ばされた。

「レギュラー」と「イレギュラー」の異動

 さて今回は、その人事異動の対処法を考えてみたい。まず押さえるべきことは、異動には2つの種類があること。1つは「レギュラー」の異動、もう1つは「イレギュラー」の異動。前者は通常の異動であり、中堅・大企業ならば全社員を対象(実際に動くのは、そのうちの一部)に年に1回ほどのペースで行われる。年度替わりのこの時期の異動も、レギュラーの異動と言える。

 一方のイレギュラーの異動は、上司と部下が激しくぶつかるといった問題が生じたとき、部下がいわば緊急避難的に他の部署に移るようなケースである。私が取材していて一番多いと感じるイレギュラーの異動は、社員がセクハラやいじめ、退職強要などを受けて第三者機関に訴え出た場合のときに行われる。時事日想でも解説してきたように(関連記事)、第三者機関とは労政事務所や労働基準監督署、労働局などを指す。第三者機関が会社に調停として入ってきたとき、経営陣や人事部はその社員を解雇にはまずしない。それ以上、問題を大きくしたくないからだ。

 大体、その社員を他部署に異動させ、第三者機関に「他の部署に移し、今後は適切な労務管理をします」と言い逃れをする。そのうえで一段と巧妙に退職強要を続け、辞表を取ろうとする。これなどはイレギュラーの異動の典型的なものと言える。

 いまの時期は、レギュラーの異動が圧倒的に多いと思われるので、今回はそれに絞りたい。まず「今度、○○部に行ってくれるね」などと内示を受けたら、その面談者(人事部員など)にいくつかの質問をしてみよう。例えば、以下のようなものだ。

  • なぜ、私が異動になるのですか?
  • いまの上司は、私の勤務態度や仕事への姿勢、業績などを人事部にどのように伝えているのですか?
  • 今度の部署では、自分はどこに注意をして仕事をしていけばよいでしょうか?
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.