SPEセールス・マーケティング本部の笠井高志統括ディレクターは今回の価格戦略について、このように語った。「『2012』にちなんで、『価格を2012円にしてはどうか?』といった話もあった。確かに2012円にした方がインパクトはあるかもしれないが、それだと消費者にキャンペーン価格と受けとられかねない。ヒット作品のDVDを低価格で発売することは、いわば“テスト”。もしうまくいけば新作だけではなく、旧作も値下げを検討していく」方針を示した。
だが単価を引き下げるということは、収益の減少に直結する。しかしSPEでは価格を下げることによって、売上枚数が通常の2〜3倍に拡大すると見込んでいる。DVD1本当たりの利幅は減少しても、売上枚数の増加によって利益を確保したい考えだ。
ヒット作品が1980円――。安い――。といったことに目が奪われがちだが、同時にいま話題のフリー戦略も行われている。あるモノやサービスを売るために、ほかの商品を無料にするという手法だ(直接的内部相互補助)。例えばスーパーでの試食というモデルも、このフリーに当てはまる。
SPEは『2012』でBDとDVDのセット販売を行っているが、なぜこのような戦略に打って出たのだろうか。「セット販売の狙いは2つある。『BDの画質ってそんなに良くない』と思っている人が多いのではないだろうか。そんな人たちにBDとDVDの画質を比べてもらいたい。もう1つはソニーグループとして、Blu-rayを普及させなければならない使命があるからだ」(笠井氏)という。
通常、新作タイトルのBDは5000円前後で販売されている。しかし『2012』では4000円を切る価格に抑えただけではなく、DVDを“おまけ”に加えた。家ではBDを見て、出張のときにはノートPCでDVDを見る、といった楽しみ方もできるだろう。しかしいまはDVDでしか見れないが、いずれBlu-rayレコーダーを買うつもりという人もいるはず。こうした層がBDとDVDをセットで購入すれば、「将来、Blu-rayを楽しむ人が確実に増えていく」という計算が成り立つ。つまりDVDしか持っていない人にとっては、“BDがおまけ”というフリー戦略になるのだ。
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