同社の腕時計といえば、なんといっても「G-SHOCK」シリーズが有名だ。LEDで時刻を表示するデジタルウォッチのイメージが強いが、近年同社が力を入れているのがアナログの高機能腕時計である。
「時計というのは基本コンセプトが『時間を知ること、計ること』です。これまではセンサーやLSIで計った時刻を液晶で表示してきたわけですが、今の技術を使えば時刻は針でもディスクでも表現できる。カシオならではのアナログ表現が可能なわけです。(多くの伝統的な高級腕時計メーカーと違い)我々はメカではなく、エレクトロニクス出身です。そのエレクトロニクス技術で、自在に表現できるムーブメントを開発すること、これが2010年の開発テーマなのです」
エレクトロニクス技術に裏打ちされたムーブメント開発――その例の1つが、同社のパイロットウオッチ「G-SHOCK GW3000」である。世界6局(日本2局・中国・米国・ドイツ・イギリス)の標準電波を受信する電波受信機能「マルチバンド6」を備えた、高機能な電波ソーラー時計だ。
パイロットウオッチとは、飛行機のパイロットが必要とする機能を盛り込んだ高機能な時計のこと。コックピットでも実用になる機能性・視認性・操作性を備えた腕時計のことだ。GW3000では、単に航空機の計器をイメージしたデザインだけではなく、実際にパイロットが過酷な条件下で使用した場合でも、実装されている機能がきちんと動くことを重視した。
GW3000は、従来からG-SHOCKシリーズが得意とする耐衝撃性や防水機能に加え、飛び抜けた耐遠心重力性能を備えている。見せていただいたのは、曲芸用飛行機のパイロットが使用する、という想定のデモだ。遠心分離器にGW3000をセットし、最大15Gの遠心力をかけるというテストだ。
この時計は、実際に針がクルリと回ってストップウオッチを計測する。15Gというのは、フライトデータレコーダーや、コックピットボイスレコ−ダーなどに求められる最高等級の遠心重力である。普通であれば強い遠心力で針が持って行かれてしまいまともに動かないはずだが、GW3000では15Gの遠心力をかけても針が通常通りに動き、ストップウオッチとして機能する。
最大50Gまで遠心力をかけても大丈夫な高い信頼性のムーブメント――このようにエレクトロニクスに裏打ちされたアナログの技術力こそ、カシオならではの高級腕時計だと増田氏は話す。
若者向けブランドとしてスタートしたG-SHOCKも、登場してすでに27年が経っている。現在のG-SHOCKユーザーは30〜40代が中心。さまざまなユーザーニーズに合わせて複数のブランドがあり、それぞれコア技術に立脚したブランドコンセプトを持っている。
衝撃耐久技術を追求した「G-SHOCK」、G-SHOCKブランドを女性向けに展開する「Baby G」。針・ディスク駆動技術に優れる「EDIFICE」、薄型化技術を追求する「OCEANUS」、山歩き用の時計として開発、各種センサー技術に優れる「PROTREK」など、高機能かつユニークな特徴を持つブランドを展開している。
高機能路線だけではなく、最近のG-SHOCKはファッション性も追求している。ビビッドな色彩を取り入れた「Crazy Colors」シリーズや、アーティストとのコラボモデルなど、“高機能かつかっこいい”もまた、G-SHOCKの顔となっている。2009年に世界の各都市で展開された「SHOCK THE WORLD TOUR」などは、まさにこの路線のイベントといえよう(参照記事)。
2010年のカシオはどんな新製品を出すのか。そのラインアップは、3月18日から25日にかけて、スイス・バーゼル市で開かれる腕時計の見本市「バーゼルワールド2010」で明らかになる。誠Styleではバーゼルから随時レポートをアップする予定なので、お楽しみに。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング