オンラインゲームが誕生して十数年、様々な分業形態が生まれてきた。その歴史をひもとくと、ソーシャルゲームは突如として現れたものではなく、分業の進化というトレンドの延長線上にあることが分かる。
初期形態は、MMO(Massively Multiplayer Online、多人数参加型)と呼ばれるオールインワン型である。ID管理と課金システムは公式Webサイトで行うものの、ゲームコンテンツやコミュニティ機能はすべて、ダウンロードして別に起動するクライアントソフトに内包される形でセットになっていた。
その後登場したのが、ゲームポータルである。「友人登録」「日記」「掲示板」「アバター」などのコミュニティ機能が、ゲームクライアントからWebサイトに移行し、「ゲームとコミュニティの分化」が起こった。オールインワン型の場合、プレイ履歴やフレンドリストなどの情報が、ゲームクライアントという閉じられた世界の中にあったので、そのゲームをプレイし終わると、そこで知り合った友人などすべてを手放さねばならなかった。しかし、そこでWebベースのコミュニティ機能を用意したことで、ゲームで知り合った友人と交流を続け、別のゲームをともにプレイできるようになったのだ。
ゲームとコミュニティの分化は、パズルなどのミニゲームを次から次へとプレイするカジュアルユーザーのゲームスタイルとマッチした。ゲームポータルでは、無料ミニゲームとコミュニティ機能による集客力を活用し、取引先の有料MMOにつなぐというチャネリング事業も行っている。
ソーシャルゲームでは、コミュニティとゲームの分化がさらに進んだ。ゲームポータルでは取引先と調整をしながらチャネリングをしていたが、その部分をAPIという形で標準化し、誰でも自由にコンテンツを載せられる、調整活動不要の仕組みにしたのだ。さらには、WebサービスであるSNSとゲーム会社・アプリベンダーという異業種間の分業が成立している。
このような流れで考えれば、ソーシャルゲームは進化の途中にあることが分かるだろう。気軽にゲームとコミュニティを楽しむサービスのあり方をめぐって、さらに適合的な分業形態へ進化すると予想される。例えば、APIというプログラムレベルの分業だけでなく、課金システムやマネタイズ手法など、サービス面での役割を詰めていく余地がある。
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