日本人と違って、ドイツ人はなぜ環境意識が高いのか松田雅央の時事日想(4/4 ページ)

» 2010年03月16日 10時41分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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市民パワーを吸い上げる

 もし日本の環境保全団体で活動する人がドイツの状況をみれば、まずはため息をつくだろう。けた違いの会員数、地域から中央に集約する組織力、自治体や企業に頼らない資金力。端的に書くと環境保全団体の体力が違う。

 ただし、会員すべてが積極的に活動しているわけではなく、活動の度合いは会員個々の判断で調整できる。例えば会員1000人程度の環境保全団体の会員をカテゴリー分けすれば次のようになる。

  • 活動を支援するのが目的の「賛助的会員」:約40%
  • 興味のある催し物だけに参加する「一般会員」:約50%
  • スタッフとして催し物の運営に参加する「運営会員」:10%弱
  • 協会役員を務める強い覚悟のある「積極的会員」:2%程度

 こうしてみると積極的会員の割合がずいぶん少ないように感じるが、裾野が広いからこれでも全く問題ない。積極性がどれだけであっても会員になれることは、逆に数多くの市民の力を吸い上げるのに好都合だ。

 NABUカールスルーエ支部とBUNDカールスルーエ支部を合わせれば会員数はおよそ5000人。カールスルーエ市には他にも環境保全団体があり、それらをすべて合わせれば環境保全団体の会員数は1万人程度であろうか。これは市の人口の4%弱に相当する数であり、それだけの市民が自治体の環境行政や企業の環境行動に厳しい視線を向け、自らも主体的に行動している。

 環境大国ドイツを支える市民パワーを如実に示す数字である。

※1ユーロ≒124円


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