日本人と違って、ドイツ人はなぜ環境意識が高いのか松田雅央の時事日想(3/4 ページ)

» 2010年03月16日 10時41分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

反原発が原点

 一方のBUND(自然・環境保護ドイツ連盟)は、環境保全運動、特に反原発運動が高まりを見せた70年代半ばに生まれた環境保全団体だ。この30年で、会員25万人・賛助会員10万人の全国的な環境保全団体に成長し、全国各地に事務所を置いている。筆者の住むバーデン・ヴュルテンべルグ州には2つの州事務所と12の地域事務所があり、地域とテーマごとに大小400ものグループが活動している。

飼育環境の劣悪な養豚ではなく、飼育環境の整った「オーガニック養豚」の推進を訴えるBUND作成の冊子

自主独立が大原則

 BUNDカールスルーエ支部の年間予算は約6万ユーロ。出費は、事務所の家賃、人件費、各プロジェクトの運営費用などの割合が大きい。収入で最も比重が高いのは会員と賛助会員の収める年会費であり、およそ8割を占める。自治体の業務を請け負い委託費をもらうこともあるが割合は低く、決して自治体依存の団体ではない。また、企業などの協賛金を得ることも考えられるが企業との特別な結びつきは活動の幅を狭める危険性があるため、基本的には行なっていない。会員は「緑の党」など環境政策を重視する政党の支持者が多いと予想されるものの、だからといって活動が特定の政党に偏らないようにしている。

 これらのことはBUNDに限らず、ボランティアを活動基本とする環境保全団体に共通したスタンスだ。

写真左・BUNDカールスルーエ支部のヴァインレーベ事務局長(左)と、役員のブルカート氏(右)、写真右・BUNDカールスルーエ支部主催の自転車エコツアー(右)

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