オルタナティブな生き方が、社会の中で大きくならない理由ちきりん×phaの「そんじゃーダラダラと」(6)(2/3 ページ)

» 2010年03月15日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ちきりんさん

ちきりん phaさんが言うように、1人1人はそれでいいんですよね。自分がやりたいように生きていればいい。ただオルタナティブな生き方が「社会の中でもっと大きくなるか?」といえばならないと思う。なぜかというと、オルタナティブの生き方が大きくなるにはリーダーシップが必要だから。だめ連の本が出たときには、多くの人が彼らの生き方のコンセプトを知ることができたので「自分も規則正しい生き方を押しつけられるのはおかしいと思っていました」という意見がたくさん出てきました。

 共感する人が増えれば、彼らのような人間が増えシェアハウスなども増えるかもしれない――と考える人もいたようですが、そうはならなかった。当時はインターネットがなかったから難しかったのかもしれませんが、もう1つ足りなかったのはリーダーシップキャパシティ。

 だめ連の神長恒一さんやペペ長谷川さんのような方が何人かいると、1人当たり4つくらいのシェアハウスが運営できたかもしれない。ところが「ボクはうだつの上がらない人間で何にもできません」という人ばかりが多くなると、組織を拡大することが難しくなってくる。

 phaさんもシェアハウスを運営されていますが、その運営のためにそれなりに仕事をされているはず。しかしその仕事量が増えてくると、ダメなんですよね。

pha ちきりんさんの言う通りですね。小さい規模であればリーダーの人間力で運営できますが、ある程度の大きさになると1人では限界が出てくる。数十人、数百人単位の人と関わろうとすると、きちんと組織を作ったり、それなりにお金が回るシステムを作る必要があります。でもシェアハウスに住もうという人に、そういった大きい組織を運営したいと思うタイプがそもそも少ないんですよね。僕もそういうのは嫌ですし。

ちきりん きちんとした組織でいるのが嫌だから仕事を少なくしてシェアハウスに住んでいるのに、ニートになってまた組織を構築するなんておかしな話ですよね。

pha また人数を増やして、きちんと組織として運営していくと、とんがった面白さは減ってしまいます。相手にする人間が増えるほど、やることはどうしても無難なものになってしまう。

ちきりん ジレンマがありますよね。ある意味、会社的になってしまう。月曜日は○○さんが担当、火曜日は○○さんが担当……といった感じで拘束してしまうと「サラリーマンと何が違うんだ」という話になってしまう。なのでオルタナティブな生き方というのは、ある一定以上の規模にはならないんだろうなと思いますね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.