米国株高や円安を好感する動きに加え、持高調整の買戻しもあり値持ち良く堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年03月12日 16時16分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高に加えSQ(特別清算指数)算出に絡む買いも入って買い先行となりました。寄付きからの買い一巡後は上値も重くなりましたが、持高調整の売り買いが見られる中、値持ちの良さを見た買戻しなども見られ、堅調な展開が続きました。それでも相変わらず市場参加者が増えた感もなく、最後まで盛り上がりに欠ける展開で方向感のない展開ながらも値を保ちました。足元の業績回復が見られる銘柄は底堅い堅調な展開となりました。

 中国の金融引き締めが懸念され、相場の上値を押さえる要因の一つとなっていますが、金融引き締めと言っても中国の消費を減退させるとか、インフラ整備を抑えるといったような経済を縮小するためのものではなく、米国での金融規制の議論とおなじで投機的な資金移動を制限するものと考えて良いのではないかと思います。中国の投機的な動きで業績を拡大しているような企業があるとすれば、あるいは日本企業が全体として中国の投機的な動きの恩恵を受けているのであれば影響は大きいのでしょうが、中国経済が拡大、つまりGDP(国内総生産)が伸びているうちは大きな影響はないのではないかと思います。

 単純に考えると、実質経済成長がプラスと言うことはそれだけ、「バブル」ではないお金の流れが増えているということであり、借金をして豊かになるというかつての高度成長時代の日本の姿と同じことが起きているのであり、多少の金融引き締めがあってもそれほど大きな影響はないものと思います。また、これだけお金の流れも「グローバル」になってくれば、「円キャリー取引」に見られるような「自然な」お金の流れが出てくることになり、世界的に強調して政策を行なわないとあまり意味がないということも出てくるのではないかと思います。

 未だに疑心暗鬼ではありますが、目先の需給要因以外には売り急がなければならない理由もなく、業績回復度合いを織り込むような動きとなって来るものと思われます。需給要因に懸念が薄れれば改めて割安感を見直す動きも出てくるのでしょうし、需給悪化要因も決算月をすぎれば、圧力が低下することが期待されるものと思われ、投機的な規制に関係のない投資を評価し直す動きも含めて、銘柄を見直してもいいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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