雇用改善の遅れなどで上値も重いが、金融機関の収益改善期待から堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月12日 08時45分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10611.84△44.51

<NASDAQ>2368.46△9.51

<為替:NY終値>90.51-90.57

雇用改善の遅れなどで上値も重いが、金融機関の収益改善期待から堅調

 朝方発表された新規失業保険申請件数は前週より改善してはいたのですが、予想ほど改善しておらず、中国での金融引き締め懸念もあって軟調な展開となりました。ただ、欧州での金融不安が薄れたことや前日に続き金融機関の収益改善期待から最後は買戻しなども交えて買われ、堅調となりました。米国で金融規制強化の話題もありましたが、特に材料視されることはなく業績回復、景気回復を織り込む格好で堅調となりました。

 雇用不安に続き、金融不安も薄れて堅調となっています。ナスダック指数に続きS&P500指数なども52週高値更新となり、いよいよ「金融相場」から「業績相場」へ移行してきたと見てもいいのでしょう。週末に小売り売上高の発表もあり、個人消費の回復を確認できれば一段高となって来るのでしょうが、個人消費の回復にまだまだ時間がかかると見られると目先的な達成感から一旦調整となるのでしょう。

 個別には引き続き資金調達がうまく行き、楽観的な業績改善期待を示したことからシティ・グループが高く、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカも堅調となりました。さすがにAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)は買い先行で始まったものの利益確定売りや手仕舞い売りに押されて軟調となりました。キャタピラーは堅調、GE(ゼネラル・エレクトリック)は軟調となるなど景気敏感銘柄もまちまちとなりましたが、雇用の改善から個人消費改善期待もあり、ホーム・デポやウォルマートは堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を好感して堅調となりました。外国人も買い越しと伝えられ、SQ(特別清算指数)を控えた持高調整の売りも見られなかったことで、買戻しなども入り堅調となったものと思います。中国の金融引き締め懸念から上げ幅縮小となる場面もあったのですが、業績面からの見直し買いや持高調整の買戻し、オプションのヘッジとしての先物買いなどもあって指数を押し上げたものと思います。

 米国市場が堅調となったのですが昨日の上昇である程度織り込まれているものと思われ、上値の重い展開となって来るのではないかと思います。朝方発表される鉱工業生産指数が大きく修正されることになると反応することになるのでしょうが、堅調な相場が続いた週末と言うこともあり手仕舞い売りに押され、上方修正よりも下方修正に敏感に反応しそうです。また、SQ(特別清算指数)算出ということですが、売りが先行すれば一旦買われてその後上値が重くなり、買いが先行すれば手仕舞い売りに押されて上値も重くなるのではないかと思います。

 中国の金融引き締めを懸念する動きが出ると、10500円から600円の節目での底堅さを確認することになるものと思います。ただ、その水準を抜けたものと考えると次の目処とすれば10800円から900円水準となり、中国の金融引き締め懸念を日銀の追加の金融緩和を好感する形で相殺すればその節目を目指すことになるのでしょう。決算月と言うことで持高調整の売りに対する警戒感は引き続き根強いものと思われ、11000円を超えて来るのはもう少し後になるものと思います。

本日の注目点

◇1月の鉱工業生産指数確報(経産省)

◇2月の米小売売上高

◇決算・1月期:SUMCO(3436)、トーホー(8142)

◇決算・11−1月期:エイチ・アイ・エス(9603)

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