SQ算出を前に波乱も予想されたが、持高調整の売りも見られず堅調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年03月11日 15時49分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 GDPの下方修正などがあった割には堅調な展開といえますが、中国の金融引き締め懸念なども取り沙汰されて上値の重い場面もありました。下値不安は薄らいでいるものの上値の重さも見られ、相変わらず需給に対する警戒感は根強いようです。SQ(特別清算指数)算出が終われば、一つはクリアされることにもなるのでしょうが、買い急がなければならない雰囲気もなく、方向感はまだ出ないのかもしれません。

 中国市場の影響と良く言われますが、正確には中国経済の影響と言うことであり、香港市場はまだしも、上海株式市場の影響自体は小さいのではないかと思います。中国経済がどの程度の勢いで拡大しているのか、して行くのかということは日本の企業にも日本の経済にも大きな影響はあるのでしょうが、上海の株式市場が中国経済の動向を示しているとも思えず、上海市場の影響自体は大きくはないと思います。

 上海市場や人民元の相場が開かれた市場であるのならば、市場の動きが日本経済に影響を与えると言ってもいいのでしょうが、実際には非常に限られた市場である株式市場や為替市場の動きを気にすることはないと思います。上海市場はどちらかと言うと米国での商品先物市場のように、投機的な取引の盛り上がりを示す指数と考えるとわかり易いのではないかと思います。最近は米商品市況は実体経済を示すようになったような感じですが、一時期は投機的な資金の流動性を示しているような面もありました。

 上海市場も中国の個人の投機的なお金の動きを示す指数と考えると、上海市場が上昇しているときは「バブル懸念」が強まり、政府当局が上値を押さえるような動きとなることが多いと思います。ただ、実際に経済の拡大スピードを落とすわけではなく「バブル」のスピードを落とすだけであるということを頭に入れて置く必要があり、中国の金融引き締め、と言う場合でもGDPの伸びが落ちるのか、株価が下がるだけなのか、しっかりと見極める必要があると思います。いずれにしても、過剰反応は禁物ということだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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