不況でも伸びてます! 化粧品通販のマーケティングに注目せよ(1/2 ページ)

» 2010年03月09日 08時00分 公開
[猪口真,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 百貨店やスーパーなど、既存流通チャネルがかつてないほどの苦境を味わう中、衰えを知らない化粧品通販。市場規模は2500億円を突破し、とどまるところを知らない。この不況下においても、化粧品通販業界は確実な伸びを示している。2009年は通販全体で前年比6.3%増。化粧品の店舗販売は同1.4%減であることを考えると、大きく伸ばしているのだ(富士経済発表資料による)。

化粧品通販の市場規模(出典:富士経済)

 働く女性の増加やインターネットでの新しいサービスの登場という環境変化や、巣ごもりなどの社会現象が大きく影響しているのは間違いないところだが、そうした環境やライフスタイルへの対応やネットテクノロジーの活用、緻密(ちみつ)な顧客との関係構築など、マーケティング施策の成功によるところも大きい。

 かつて、「化粧品は対面販売でなければ売れない」と言うメーカーが多く、カタログや折り込みチラシで売る商品はどちらかといえば怪しげな商品だとされた時代もあった。また、消費者と売り手側のトラブルが絶えず、訴訟や当局の介入にまで至るケースも少なくなかった(現在でもダイエット商品や美白商品などのトラブルは絶えないが)。実際、2001年ごろの、コンサルティング業界各社の論調では、大半が先行きの困難さを示していた。

 2001年といえば、通販業界でもeコマースがようやく市民権を得始めたころで、その可能性に大きな期待が寄せられていた。ただ、「全体のシェアは5%にも満たない状況であり、今後拡大していくには、幾多の課題を解決しなければならない」とされていた。具体的には、カタログ通販という一見アナログチックな手法の中で、インターネットマーケティングの真骨頂であるCRMを実践していくのは簡単ではなく、いかにIT投資によって、来たるべきネット社会に対応するかというのが多くの論調だった。

※CRM……Customer Relationship Management。情報システムを応用して企業が顧客と長期的な関係を築く手法のこと。

 それから約10年、化粧品通販業界は着実に成長を遂げてきた。特にインターネットにおけるマーケティングには早くから取り組んできた。

 DHCはネット広告での扱い高がトップクラスの1社に数えられた時もあったほどで、各社がネット広告への模索をしている段階で、すでにブランディングの確立をネット広告主体で組み立てていた。また、@cosmeに代表される口コミサイトやドクターシーラボが成功例とされるCGM(顧客発信型マーケティング) への取り組みなど、いわゆるWeb2.0的なインタラクティブ性を持ったマーケティングを化粧品通販業界はいち早く取り入れてきた。

DHC公式Webサイト
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