CoCo壱番屋に学ぶ、制約条件の中での生き残り方それゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)

» 2010年03月08日 08時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年3月5日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 CoCo壱番屋(ココイチ)がこれまで堅調に成長を遂げてこれたのは、人材育成を基盤とした「のれん分け」の仕組みの功績が大きい。嶋田毅氏のコラム「経営理念 第4回 壱番屋『当社にかかわるすべての人々と幸福感を共有すること』」に詳しいが、従業員が独立して店舗を構える「ブルームシステム」により、成長を加速させてきたのだ。

 独立を前提として正社員を採用し、店舗でマネジャーへと鍛え上げながら、次々に出店数を増やしていく。最近では海外進出も増えてきており、ハワイや中国、韓国、台湾、タイ、そして今夏には北米にも進出するという。順調に見えるココイチ。だが、外食産業が軒並み苦しんでいる日本市場では、ここにきて少し足踏みをしているようだ。

 上場会社である経営母体の株式会社壱番屋が、今年1月7日に平成22年5月期 第2四半期決算短信(非連結)を発表した。それによると、「外食業界におきましては、雇用不安や所得の減少等を背景に消費者の生活防衛意識が高まり、外食を控える傾向が強まりました。当第2四半期累計期間における店舗売上高は、全店ベースで前年同期比2.8%減、既存店ベースで前年同期比4.6%減の結果となりました」と、外食業界における厳しい環境下で、同社も例外ではなかったと伝えている。各紙が報じたところによれば、中間期での減収は2000年の上場後初めてというから、市場環境の厳しさが如実に表れている。

 特に消費者の生活防衛意識の高まりは、メニュー単価の高い同社には強い逆風となる。平均的なメニューは700円〜800円。豊富なカレーのトッピングが売りであるが、楽しくトッピングして、うっかりサラダでも頼もうものなら、その日のランチは軽く1000円を超えることになる。昨今のランチ事情は300 円〜500円に抑えようとする人が多いのだ。(参考:「お弁当もデフレ化の波……20〜30代弁当男子の実態(Business Media 誠)」)

 そんな中、ココイチの生き残りの一手は、当事業年度より新たな営業施策として開始した「ストアレベルマーケティング」だという。

「ストアレベルマーケティング」とは、これまでの全国均一のサービスに加えて、それぞれの店舗の特性に応じた独自のサービスやメニューを、店舗で考え、提供する新たな取り組みです。地元の食材をトッピングに加えたり、週末にお子様向けのイベントを開催したりするなど、店舗の活性化を図ってまいりました(同社短信)。

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