雇用や個人消費の改善が見られ、投資判断の引き上げもあって堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年03月05日 08時54分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10444.14△47.38

<NASDAQ>2292.31△11.63

<為替:NY終値>89.03-89.09

雇用や個人消費の改善が見られ、投資判断の引き上げもあって堅調

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想よりも減少、雇用の改善が見られたことや小売り各社が発表した2月の既存店売上高が予想を上回って増加したことから雇用や個人消費の回復が見られるとして堅調な展開となりました。景気敏感銘柄などに投資判断の引き上げがあったことや「ボルカー・ルール」が緩和されるのではないかとの観測などが伝えられたことも相場全体の下支えとなったものと思います。週末の雇用統計は大雪の影響などで下振れするのではないかとの見方もあり、注目される指標の発表を前に積極的な買いは手控えられて上値も限定的となって来ました。

 個人消費や雇用に改善、回復が見えてきたことで堅調な展開となりました。ただ、仮契約住宅販売指数が予想に反して大幅に低下するなど、まだ住宅指標などには景気回復の遅れが見られ、「次」の段階、つまり、「業績相場」への移行が完全に行なわれるということでもなさそうで、まだ紆余曲折はあるものと思われます。景気回復が鮮明になるなかで「出口戦略」なども取り沙汰されるものと思われ、まだまだ落ち着かない相場が続きそうです。

 個別には投資判断の引き上げられたボーイングやコカコーラは堅調、ウォルト・ディズニーは大幅高に近い上昇となり、「ボルカー・ルール」の緩和が伝えられたことでJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も高くなりました。商品市況が軟調となったことで、エクソン・モービルなどの石油株、ニューモント・マイニングなどの金鉱株などは軟調となりました。既存店売上高が予想を上回ったことでギャップは堅調となったのですが、メーシーズは堅調な始まりとなったものの利益確定売りに押されて最後は軟調となり、増配を発表したウォルマートも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円高を嫌気する動きなどから軟調となりました。それでも前場は底堅く前日の終値を挟んで小動きとなっていたのですが、後場に入ると目先筋の見切売りなどもあって下げ幅拡大となりました。持高調整の売りも出ていたのかもしれません。円高を嫌気してハイテク銘柄などの輸出株が売られ、後場になってから堅調であった海運株の一角や非鉄株の一角も軟調となるなど手掛かり難の中、買い気の乏しい展開となりました。

 米国市場が堅調、為替も対米ドルでは円安に振れたことに加え、日銀の追加の金融緩和が伝えられたことから、堅調な展開が期待されます。3月は決算月ということで資金需要の拡大から短期金利の上昇が見込まれ、金利上昇懸念からの手仕舞い売りや持高調整も懸念されていたのですが、追加金融緩和が取り沙汰されるだけで、懸念が薄れ好感する動きとなるものと思われます。昨日大幅下落となった反動もあり、週末の手仕舞い売りやヘッジ売りをこなして堅調な展開が期待されます。ただ、米国での注目される経済指標=雇用統計の発表を控えていることから、上値の重さも見られるかもしれません。

 もみ合いの中で下値を試す動きとなるかと思われましたが、底堅さが確認されて再び上値を試す動きとなりそうです。10100円前後から100円台半ばが下値目処となっており、この水準を固めて、目先的には10200円台半ばから後半の節目を目指すことになるのでしょう。10300円台に入れば一気に10400円台まで上昇となる可能性が高く、次の節目である10500円から600円の水準を目指すことになるものと思います。

本日の注目点

◇東証マザーズ上場:エスクリ(2196)

◇2月の米雇用統計

◇決算・1月期:ピジョン(7956)、バルス(2738)

◇決算・5月〜1月期:クックパッド(2193)

◇決算・11月〜1月期:くらコーポレーション(2695)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.