プロ講師が使う、参加者の口を開かせる心理テクニック(1/2 ページ)

» 2010年03月05日 08時00分 公開
[木田知廣,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:木田知廣(きだ・ともひろ)

シンメトリー・ジャパン代表。米国系人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットで、成果主義人事制度の導入に尽力。欧州留学を経て、社会人向けMBAスクールのグロービスの立ち上げをリード。2006年、経営学の分野で有効性が実証された教育手法を使い、「情報の非対称性」を解消することをミッションとしてシンメトリー・ジャパンを立ち上げる。


 「参加型のセッション」をうたっているセミナー、最近は多いですよね。参加型の方が満足度を高めやすいですし、実は見逃していけないのは学習効果。「自らが積極的に関与(コミット)することによる深い理解」「発言する・体を動かすと言うアウトプット指向による知識の定着率の向上」「考え、迷い、そして解答を見つけるというプロセスを経ることによる応用力の養成」など、レクチャーでは達成できない高い学びの効果を参加型セッションはもたらします。

 実際、私が主催しているセミナーでも「面白かった」という声が多いのは、「Fun(楽しい)」とともに「Interesting(知的刺激がある)」なセッションだったことの証明だと思います。

 ただ、高い効果が見込めるだけ、運営面での難しさをはらむのが、参加型のセッションの宿命でもあります。実際、ないですか? 「参加型」をうたっていながら、会場に行ってみると最後の方にちょこっと質疑応答があるだけだったり、はたまたワークシートに記入する時間があるだけだったり……。まあ、「失敗したらマズイから、お茶を濁す程度で……」という主催者側の気持ちは分からなくはないですが。

 そこで今回は、参加型セッションのキモである、参加者からの発言を引き出す心理テクニックを紹介します。それは……「参加者にはとにかく口を開かせて、何でもいいからしゃべってもらう」というもの。

 「それ、あたりまえだろ」とズッコケないで……。一見当たり前のことを「どこで」「どのように」やらせるかにこのテクニックのキモはあります。

 「どこで」に関しては、答は決まっていてセミナーの冒頭です。当たり前のことですが、セミナーの冒頭で講師が延々話し始めると、「あ、このセミナーは講師の話を聞く場なんだな」と参加者は「聞くモード」に入ってしまって、一度こうなった参加者を何とかしゃべらせようとしても、心理的な障壁が高くなってしまって大変です。

 なので、セミナーの冒頭には、必ず参加者同士で話してもらう時間をとりましょう。プロの講師は「アイスブレーク」と呼んでいる、見知らぬ人同士の間にわだかまる、氷のような冷たい雰囲気を打破(ブレーク)するパートです。

 そして、「どのように」も大切なポイントで、出来れば参加者同士を2人組にしてあげましょう。なぜなら、「大勢の前で1人が発言する」ようなアイスブレークだと、どうしても気後れしてしまうもの。1対1だったら、それほど心理的なプレッシャーもなく、比較的簡単にしゃべれますものね。

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