紙雑誌で読者がしていることを列挙してみよう。
読み方:くつろぎ読み、パラパラ読み、ちょこ読み、立ち読み、車中読み、ながら読み、ナナメ読み、速読、再読、輪読、積ん読
感じること:重さ、質感、匂い、色、音(ページめくり)
読みながらすること:書き込む、端を折る、破いてメモる、何かを挟む、丸めて持つ、丸めて叩く、広げてあおる
思わずやること:雨傘、日傘、庇、印鑑台、カッター台、椅子(積んで)、土瓶敷き、すし飯あおぎ
紙雑誌は人の読み方・仕草に合わせて育ってきたメディア。長きに渡り人の手で育てられてきた。だからこんなにバラエティに富んでいる。かたや電子雑誌では「どこでもダウンロード」「検索」「マウスオーバー/スクロール」「照度調節」「電池のある限り」「読み上げ」「バラ売り」とずいぶん違う。紙雑誌と電子雑誌、どうやら別モノではないかと私は思うのだ。
電子雑誌が雑誌の読み方を変えそうな要素もある。それは記事の「バラ売り」である。
2009年、開始前に休止に追い込まれた「コルシカ」。これは記事のバラ売りではないが、印刷雑誌の販売サービスで、ページをスクラップして管理することができた※。音楽ではiTunesストアのダウンロード曲数が100億曲を突破したそうで、たぶん1曲99セントのバラ買いが大半だ。
だが、特定の記事だけ買うというスタイルは雑誌でも普通になるのか? そうそう、こんなことはあった。店頭で買いのがした『Papyrus』(幻冬舎)3号がどうしても欲しくて、幻冬舎本社に電話までした。すると「在庫切れです」とサービス係の答え。
「特集の、後藤久美子さんのグラビアページだけでいいんですが」と食い下がる私。
「そういうワケにはまいりません」
すげないんだから。バラ買いならこんな時、便利だ。経済的だし、電子化のメリットになりそう。何か調査をするならバラのニーズは強い。余談だがページ売りでライターに印税が入るシステムができるなら、貧乏ライターも救済される。でもバラ買いは、くつろいで読む雑誌本来の読まれ方ではないと思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング