先週の金曜日からずっと、先週の木曜日の高値と安値の間での動きとなっています。一時、高値の節目と見られた10200円台半ばを抜けたかに見えたのですが、先物主導で指数だけが押し上げられた格好で、長続きせず結局もとの範囲での動き、再度10200円台半ばでの上値の重さを確認するような動きになったものと思います。相変わらず売買高も少なく閑散とした相場展開で市場参加者も少なく、一握りの銘柄に指数が支えられているようなところもありました。
節目と見られる水準を抜け切れずに毎日毎日狭い範囲でのもみ合いに終始しています。前場はいったんもみ合いを放れたかに見えましたが先物主導で後が続かずに買戻し一巡後はもとの水準に戻ってしまいました。江戸時代に大坂の堂島の米相場で大儲けをした本間宗久と言う人の残したチャートの見方に「酒田五法」と言うものがあり、その中に「三法」と言うものがあります。相場は「売る」と「買う」の二つではなく、「売る」と「買う」そして「休む」の三つがあるというものです。
株価や指数の動きで言えば、ちょうど今のように先週の木曜日の大きな陰線(「ローソク足」と言うチャートで黒い四角で示される線)の中でのもみ合いとなっており、この中にいるうちは「休む」のが正解というものなのです。このもみ合いを上下どちらかに放れる時は方向がはっきりとしたところなので、放れるのを確認してから売り買いどちらか動いても遅くはなく、抜けるまでは売り買い手控えるということなのです。
本日の前場に先物のまとまった買いが入り抜けたところで更にまとまった買いが見られたのはこの動きだと思います。このもみ合いを放れる時には放れるだけの材料があるはずであり、その材料はもみ合いを放れるだけのインパクトのある材料であり、「抜ける」と言うことがその材料にしたがって動くということなのです。米国でも主要な経済指標が発表になるところであり、日本市場のもみ合いを放れるだけの材料となるのかどうかが大いに注目されます。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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