若い人、もっと自信を持って――「結婚は一番のセーフティネット」ツヴァイ・田路正社長(2/4 ページ)

» 2010年03月03日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

田路社長の夢〜お客さま全員が成婚されること〜

ツヴァイの田路正社長

 ジャスコに入社後、田路氏は店舗での経験を積んだほか、販売促進、営業企画、事業部長などを歴任。そして2000年、田路氏はツヴァイの社長に就任したが、ビジネスモデルがまったく違うことにかなり戸惑ったという。

 スーパーのビジネスモデルというのは商品を安く仕入れて、できるだけ多くの人に買ってもらうというもの。もちろん陳列台を工夫したり、消費者が買いたくなるような店舗作りに尽力しなければならない。しかしそれらは目に見えるものばかりだったので、仕事とはそういうものだと考えていた。またスーパーで扱っているのは低価格の商品が中心だが、ツヴァイに入会するには1ケタ、いや2ケタ高い価格の入会金を支払う。その対価として、目に見えないモノをお客に提示しなければならない。

 「原価が分からないものに対し、なぜお客さまが弊社に入会してくれるのかが当初は分かりませんでした。しかし会社に信頼があるから、お客さまは入会してくれる。なのでいかに信頼を高めていくかが、この会社の最大のポイントだと思い至りました」

 会社の信頼を高めるために、どのようなことを行っているのだろうか。ある社員の言葉に、ヒントがありそうだ。

 「社長はですね、いつも社内を歩き回っているんですよ」。さらに別の社員はこう語った。「従業員で社長と話したことがない、という人はほとんどいないのでは。新入社員でも1日目から、話しかけられますから」と。

 この言葉を聞いた田路氏は、すぐに“反論”した。「実は単身赴任中なので晩飯を一緒に食べる相手を探しているんですよ。でも誰も一緒に食べてくれない日がありまして。そのときは弁当を買って食べるのですが、それが寂しくて、寂しくて……」と苦笑いする。

 職場を歩き回るには、もう1つの理由がある。会社の信頼を失えば、この世界で生き残っていくことは難しい。ではどのようにすれば信頼というものを手にすることができるのだろうか。そこで田路氏は従業員に着目した。「私たちはお客さんの“心の痛み”を理解しなければなりません。そのためには従業員の感性を磨く必要があるので、悪い点を見つければその場で注意しているんですよ」

 「結婚相手紹介サービス業」と聞けば、単に結婚を考えている人に出会いの場を提供しているだけ、ととらえる人もいるかもしれない。またコンピュータを使って情報を提供しているので、そこにはあまり人が介在しないといった印象もある。しかし「この仕事は『人と人を結ぶ』ことが使命なので、“人間産業”だと思っています。そして私の目標は、お客さま全員が成婚で退会されることですね」という。

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