ユニクロの新ジーンズブランド「UJ」の恐るべき破壊力それゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)

» 2010年03月01日 08時00分 公開
[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年2月18日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


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 2月17日、ユニクロは新ジーンズブランド「UJ」を発表した。ユニクロがジーンズを発売というと、あまりに当たり前に感じてしまうのか、大手メディアではあまり大きな扱いの記事にはなっていない。だが、その詳細を知るに、驚いた。ファッション関連の専門サイトFashionsnap.com(ファッションスナップ・ドットコム)が詳しく伝えている(参照リンク)

 記事は次のように始まる。「UNIQLO(ユニクロ)」のジーンズが生まれ変わり、新ジーンズブランド「UJ」が誕生した。2010年春は54型を揃え、1990円〜3990円の3プライス制を導入。「ジーンズを変えていく。」をコンセプトに、世界一のジーンズブランドを目指す。加えて、ユニクロ取締役COO大苫直樹氏のコメントも掲載している。「グローバル戦略商品であるUJをユニクロの代表的ブランドとして育て、世界で一番売れているジーンズブランドになるのが究極の目標。」とのことで、これまでのユニクロのジーンズの年間販売数である1000万本を大幅に越える規模の販売を狙うことを示唆した、という。

 UJの登場は、ジーンズ製品を扱うすべてのアパレルメーカーを震撼(しんかん)せしめたことだろう。ユニクロを持つファーストリテイリングには、傘下にジーユーがある。2009年3月に990円ジーンズとして市場に登場し、9カ月100万本の販売実績をたたき出した。日経MJのヒット商品番付でも西の横綱に輝いたことも記憶に新しい。UJのラインアップが加わり、グループで1000円〜4000円の価格レンジが揃うことになる。しかもUJは54の型番を持っているのだ。恐ろしいまでの「面」を押さえる戦略だ。

 さらに、定番デザインに加え、今、最旬のデザインジーンズを毎月5〜7型リリース(ファッションスナップ・ドットコム)するというから、時間軸でみれば面ではなく奥行きも持っていることになる。あらゆる人が自分の一本を見つけることができるだろう(同)と伝えているが、ユニクロの戦略は顧客に複数購入させる「アップセリング」が基本だ。すべての人々のクローゼットにUJが2〜3本入っているようになるのかもしれない。

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