雇用の改善の遅れや欧州での金融不安を嫌気して一時大幅安となるなど軟調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年02月26日 08時51分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10321.03▼53.13

<NASDAQ>2234.22▼1.68

<為替:NY終値>89.06-89.12

雇用の改善の遅れや欧州での金融不安を嫌気して一時大幅安となるなど軟調な展開

 欧州、ギリシャの金融不安の広がりを懸念する動きと新規失業保険申請件数が予想を上回って増加、雇用改善の遅れが懸念されたことから、耐久財受注は予想を上回ったものの、売り先行となり、一時大幅下落となりました。FRB(連邦準備理事会)議長の議会証言は特に目新しい材料でもなかったのですが、ギリシャの債務隠しに米金融大手が関与していると懸念されていることを把握しているとしたことなどもあって、買戻しが入り引けにかけて戻り歩調となりました。

 10200ドルを割り込むと、値ごろ感からの買戻しもあって最後は下げ幅縮小となりましたが、欧州金融不安の影響を懸念する動きが強いようです。欧州の景気回復の鈍さも改めて認識され、米国株景気の回復の遅れ、特に雇用面や個人消費の回復の遅れが懸念されることになったものと思います。米金融機関への影響もあるとの見方も強く、買戻しは入るものの、買い切れない、と言うことでしょう。

 個別にはパーム(スマートフォン=多機能携帯電話大手)は2010年5月の売上高が従来見通しを大きく下回ると示したことで売られ大幅安となり、系列のボトラー(瓶詰会社)の北米事業を買収すると発表したコカ・コーラは大幅下落。バンク・オブ・アメリカは堅調ですが、JPモルガン・チェースやギリシャの債務隠しに関与しているとされたゴールドマン・サックスは軟調となりました。金先物が急反発となり、ニューモント・マイニングが大幅高、アルコアも商品市況が底堅い堅調なものが多いことなどから、堅調となりました。キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株、インテルやIBMなどハイテク銘柄も軟調となるものが多く見られました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や外国人が買い越しと伝えられたことなどから買い先行となったものの上値の重さを嫌気する売りに押され、円キャリー取引解消、信用収縮からの持高調整の売りに押されて軟調となりました。これまで売られた内需株の一角は堅調となりましたが、ハイテク銘柄などしっかりと上昇していた銘柄が売られ指数を下押しました。

 米国市場には底堅さが見られたのですが、欧州での金融不安は拭えず、為替も大きく円高に振れたことから売り先行となりそうです。月末の「お化粧買い」も期待されますが、週末と言うことでもあり、手仕舞い売りに押されるのではないかと思います。朝方、消費者物価指数や鉱工業生産指数の発表がありますが、予想を大きく上回ると逆に円高が進み、輸出株などの売りにつながってしまうかもしれません。いずれにしても持高調整の動きが続く可能性もあり、上値の重い軟調な展開となるのではないかと思います。

 日経平均も昨日の相場で下値の節目と見られる水準を割り込んでしまった可能性が高くなりました。本日しっかりと反発して、10200円台半ばを抜けるようであれば、10000円を割り込む可能性は少なくなるのでしょうが、あっさりと10000円を割り込んでしまいそうです。10100円前後までの水準で引けると調整気分も強まるものと思われ、持高調整の売りに押されて10000円を割り込んで引けると下値を試す動きとなって来そうです。目先的には9900円水準から10200円台半ばまでのもみ合いに転じる可能性も強まっており、少し先を見ると本日10000円を割り込んで引けるようであれば、一旦は9500円水準まで下落となりそうです。

本日の注目点

◇1月の消費者物価指数(総務省)

◇1月の新設住宅着工戸数(国交省)

◇1月の商業販売統計速報(経産省)

◇1月の鉱工業生産指数速報(経産省)

◇1月の自動車国内生産・輸出実績(自工会)

◇1月期決算:ダイドードリンコ(2590)

◇09年8月−10年1月期決算:内田洋行(8057)、日本駐車場開発(2353)

◇4−12月期決算:日本航空

◇1月の米中古住宅販売

◇10−12月の米GDP改定値

◇10−12月のインドGDP

◇10−12月期決算:独バイエル、英ロイズ・バンキング、印タタ自動車

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