米国株高を受けて買い先行で始まるも持ち高調整の売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年02月25日 16時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10101.96円 ▼96.87円
売買高 18億0942万株
日経平均先物 10100円 ▼100円
売買代金 1兆2704億円
TOPIX 891.41 ▼4.28
値上がり銘柄 816銘柄
東証マザーズ指数 403.36 △0.04
値下がり銘柄 729銘柄
日経ジャスダック平均 1207.99円 △8.83円
変わらず 134銘柄
騰落レシオ 75.62% △2.11%

日経平均

米国株高を受けて買い先行で始まるも持ち高調整の売りに押されて軟調

 米国株が堅調となったことや為替も落ち着いていたことから買戻しを交えながら堅調な始まりとなりました。寄り付きの買いが一巡した後は上値の重さも見られ、売りが嵩む場面もありましたが、商品市況なども底堅かったことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられたこともあり、堅調な展開となりました。たた、戻りの鈍さを嫌気して持高調整の売りを交えながら売りがかさむとずるずると値を下げ軟調となりました。

 後場は寄付きから前場の安値を下回って始まり下げ幅を広げる場面もありました。目先的な持高調整の売りに加え、ブラジルでの金融引き締め懸念やギリシャの格下げのニュースなどが伝わり、信用収縮懸念が強まると円を買い戻す動きや円キャリー取引の解消のような動きもあり、指数を大きく下押すことになりました。目先筋の買戻しで戻り歩調となり底堅さが見られる場面もありましたが、最後まで持高調整の売りが止まらず、持高調整の買戻しも見られたものの、見切売りも嵩んで大きな下げとなりました。

 小型銘柄も見切売りに押されるものが見られましたが、主力銘柄を売って値動きの良い銘柄を物色する動きもあり、東証マザーズ指数は横ばい、日経ジャスダック平均は堅調と主力銘柄とは対称的な動きとなっていました。先物もまとまった売り買いが見られ、指数を押し上げる場面も押し下げる場面も見られました。断続的に売り買いが出るわけでもなく、方向感を示すような動きにはなりませんでしたが、指数の振れ幅を大きくする要因となっていたものと思います。先行きに対する方向感は見えず、ヘッジの売り買いや目先筋の売り買いが中心となっているのでしょう。

 業績面や世界的な景気回復を織り込む動きではなくあくまでも目先的な需給要因に振らされているのではないかと思われます。期末を意識すると積極的に持ち高を増やすというよりは持ち高を調整する方向に向かっているのではないかと思います。買い手控えられていたディフェンシブ銘柄の一角や内需銘柄の一角に高いものが見られ、手仕舞いの買い戻しもあったようです。加えて買われていたものが手仕舞いの売りに押され、指数を押し下げていたものと思います。下手をすると期末を迎える3月下旬まで目先的な需給要因に振らされることになるのかもしれません。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 大きな陰線となりいわゆる「包み足」と言う形になりました。相場の転機を示すものとされ、明日移行反発も期待されますが、まだ2月初めの安値水準まで下落しておらず、中途半端な位置での出現だけに明日の動きを見たい感じです。RSIもストキャスティックスも順調に上昇、上値余地もあったのですが、下落に転じており、調整を示すものと考えられます。雲の下限のサポートを確認するような場面も見られるのではないかと思います。

TOPIX

NYダウ

 「包み足」となって雲の下限でのサポートを確認する格好となっています。RSIもストキャスティックスも上値余地はあったのですが、下落に転じており、引き続き雲の下限でのサポートを確認するような動きが続くものと思います。RSIやストキャスティックスが底値圏になるまで上値の重い展開が続くのかもしれません。

円相場

NYダウ

 引き続き雲の中で底堅い展開となっていますが上値も重い状況が続いています。RSIもストキャスティックスも今度は下げ足りないような感じでしたが、雲の下限を意識して底堅く、戻りを試す展開となっています。まだしばらくは雲の中での動きと見ておいていいのではないかと思います。

銘柄ピックアップ

持ち高調整の売りに押されるものが多い

アステラス薬(4503) 3340 △10

 スイスの製薬会社から日本以外の全世界での抗真菌剤の独占的な開発・販売権を取得した。アステラスは感染症を重点分野の一つに位置づけており、目先筋の持高調整の買戻しや消去法的なディフェンシブ銘柄としての買いに加え、中長期的な収益拡大を期待する買いもあったものと思われます。

新日鉄(5401) 329 ▼1

 米国株高や4月から鋼材価格を引き上げると新聞で報じられたことなどから買い先行となったのですが、地合いの悪さや持高調整の売りに押されて上値の重い展開となりました。

デンソー(6902) 2418 ▼69 、 東海理化(6995) 1591 ▼94

 米メディアが反トラスト法(公正取引法)に関連して米連邦捜査局が強制捜査を実施したと報じたことに加え地合いの悪さや持高調整の売りが見られたことで、更に見切売りが嵩み大幅下落となりました。

富士電HD(6504) 209 ▼9

 米GE(ゼネラル・エレクトリック)と合弁でスマートグリッド(次世代送電網)の基幹部品であるスマートメーター(通信機能を備えた電力計)を日本で開発・生産すると報じられ、収益拡大期待などから買われましたが、後場に入ると持高調整の売りに押され、目先筋の利益確定売りも嵩んで一転、大幅下落となりました。

JR東日本(9020) 6040 △100

 世界的に金融引き締め機運が高まっていることや目先的な持高調整=信用収縮懸念が強まったことで、消去法的にディフェンシブ銘柄として買われたものと思われます。持高調整の買戻しなどもあり堅調となりました。

三井製糖(2109) 327 △10

 特に材料がでたわけでもないのですが、目先的な値動きの良さや値ごろ感から目先筋の買いが入り大幅高となりました。相場全体に手詰まり感が強まる中で、買える銘柄としての評価で買いが集まったものと思われます。

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