つけて、しぼって、すくう――“わたしの料理”を作れる調味料パケットの魅力郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2010年02月25日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotobike


 「つけるのも(ディップ)、絞るのも(スクィーズ)、1つでできる」

 そんなデュアルファンクションのトマトケチャップパケットが、「かんたん」「どこでも」「たのしい」というコンセプトで、ハインツから2010年2月に登場する(プレスリリース、英語)。「ポータブルケチャップの歴史を42年ぶりに塗り替える」と言われている。

出典:ハインツ

革新的なケチャップパケット

 ハインツの新ケチャップパケット、ディップスタイルで使う時はフィルムを隅から全部はがしてチョイとひたす。スクィーズスタイルなら先端部のフィルムだけを切り離してピュッと。ポテトフライやナゲットならディップ、バーガーやホットドッグ、オムレツならスクィーズ。オニオンリングはどっちだろう。まあ、「チョイもピュッも1つの包装でできたらいいな」という発想から開発された、小さな包装の大革命なのである。

出典:ハインツ

 ノスタルジーの彼方のケチャップ容器、私の場合は細口や広口の瓶詰めだった。1950年代から1960年代にかけて、樹脂フィルムやポリ塩化ビニールの“出し切りタイプ”が出現。ハインツが1968年に発売したケチャップ・パケットはピクニックやバーベキューのお伴だけでなく、レストランやファストフードなど外食産業に広く普及した。現在では地球上で1日23億個ものケチャップ・パケットが作られている。

 パケットにはメリットがたくさんある。必要な人に必要なだけ提供し、衛生的で在庫管理もしやすいのでコストも安くなる。適量を使うのでカロリーも低い。お行儀は良くないが、ペーパー上に出して使えば皿を洗う手間も省ける。

 また、外食チェーン向けに味や包装のグラフィックもカスタマイズできる。実際、同じハインツ製でも「バーガーキングとほかのチェーンでは味が違う」という話もある(蛇足だがマクドナルドではハインツではない)。『ランドマイン(地雷)ケチャップ』のように、地雷除去の平和アピールに使われることもある。

 デュアルタイプ、ハインツでは2010年秋に米国内のレストランで先行販売する。従来型パケットも継続するが、これからはデュアルタイプが主流になりそうだ。

ランドマイン(地雷)ケチャップ
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.