“闇金ウシジマくん”が蠢く……有名ブランドの裏事情相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年02月25日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥会津三泣き 因習の殺意』(小学館文庫)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 佐渡・酒田殺人航路』(双葉社)、『完黙 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥津軽編』(小学館文庫)、『みちのく麺食い記者 宮沢賢一郎 誤認』(双葉文庫)、『誤認 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。


 長引く消費不況の影響で、百貨店やスーパーの売上高が急減し、二十数年前の水準に落ち込んだというニュースをご存じの人もいるだろう。高額の衣料品や宝飾品のたぐいが売れないという現状は、つい数年前まで銀座や青山など都心の一等商業地に進出した海外の高級ブランドも同様だ。各社ともに新規出店の抑制、あるいは撤退を真剣に検討中だという。こうした中、筆者のようなバブル組には憧れの存在だった有名ブランドをめぐるさまざまな裏の話が漏れ聞こえてきた。

“ウシジマ”を地で行く資金繰り

闇金ウシジマくん』(真鍋昌平、小学館)

 小学館の週刊ビックコミック・スピリッツで連載中の『闇金ウシジマくん』(作:真鍋昌平)という人気漫画をご存じだろうか(関連記事)

 闇金であることを承知で、主人公の金融業者・ウシジマのもとにカネを借りにくるさまざまな人間の心の機微、キャラクターたちを取り巻く過酷な現実をリアルに描いた作品だ。作中には、風俗嬢やニート、サラリーマンなどさまざまな層のカネに窮した面々が登場するのだが、共通するのは多重債務者という点だ。信販会社や消費者金融会社から融資を断られ、主人公であるウシジマにすがるのだ。

 現在、海外高級ブランドで『闇金ウシジマくん』に登場するような多重債務者に関する話題がジワリと広がっている。高級ブランドと多重債務。一見全くつながりが見出せないような印象を受けるかもしれない。このネタに接したときの筆者も「まさか」だった。が、現実は「ウシジマを地で行くケースが多々ある」(関係筋)というのだ。

 海外の有名ブランドに務める社員の中には、「熱心なブランド信奉者が多い」(同)という。つまり、子どものころから当該のブランドに強い憧れを抱き、高い競争率の入社試験を勝ち残った向きが多いのだとか。憧れのブランド企業に就職した社員は、「競うように自社製品を購入する」(同)という。ここがボタンの掛け違えの第一歩だと指摘する関係者が多いのだ。

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