「誰のための雑誌なのか?」を考える――大手出版社が女性誌のサイズを共通化(1/2 ページ)

» 2010年02月24日 08時00分 公開
[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 現在、女性誌のサイズは、編集部のこだわりなどから寸法が1〜2ミリずつ異なっています。しかし、講談社や小学館など大手出版社がこれをやめ、女性誌のサイズを集英社の縦297ミリ、横232ミリにサイズを統一することになりました。

 サイズ統一の対象は、講談社が『ViVi』など5誌、光文社が『JJ』など7誌、小学館が『CamCam』など9誌、主婦の友社が『Ray』など9誌。大手出版社が雑誌の寸法を共通化するのは初めてになります(日本経済新聞2010年2月15日9面)。

『ViVi』公式Webサイト

 各誌のサイズ統一は、コスト削減する上で非常に大きなメリットがあります。まず、紙の仕様が統一されることで、より多くのサプライヤがそれに対応した製品を生産し、在庫を持つようになり、特注品に比べ、紙の調達において、より多くの競争がもたらされます。

 また、印刷における段取替えの調整時間が減り、製作コストの削減にもつながります。輸送、在庫管理でも、サイズが規格化されることにより、関連機器、什器(じゅうき)の開発などにより、作業を標準化、効率化できる機会が増えます。

 これらのメリットはサプライヤにとっても同じで、紙の仕様が共通化されることにより、サプライヤの方でも調達・購買・製造・物流コストなどの引き下げを図れます。

 広告主にとっても、用紙サイズの統一により、雑誌掲載の広告寸法が各社共通になり、雑誌ごとに広告の原稿を作り直す手間が省けるというメリットもあるようです。

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