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» 2010年02月23日 08時00分 UPDATE

-コデラ的-Slow-Life-:beirette vsn 2、写りは“オモチャ”じゃなかった

ジャンクコーナーで見つけた「beirette vsn 2」。作りはオモチャレベルだったが、撮影してみるとそのシャープな写りに驚いた。

[小寺信良,Business Media 誠]

 CARL ZEISS JENAのロゴがプリントされたbeirette vsn 2。作りはまったくのオモチャレベルで、ちゃんと撮れるのか実に怪しい。だが同じようなLOMOのLC-Aなどは、そのダメダメな写りが「逆にカッコイイ」ということになって、10年くらい前に大ヒットした。「ダメはダメでも、モノは考えよう」ということである。

 →ZEISSのトイカメラ? 「beirette vsn 2」

 →意外に難しい? beirette vsn 2の分解

 撮影はISO 100のフィルムで行った。本体にはそれ以上の感度設定がないので、それ以外の選択肢はない。最近はISO 100のフィルムも特売品のようなものが出尽くしたのか、まともに買うとISO 400より高くつく場合もあるのは困ったものである。

 レンズは45ミリと昔の標準レンズよりもやや広いぐらいだが、スナップにはちょうどいい画角である。いざ現像から上がってみた写真を見ると、四隅の露出の落ちなどもなく、非常にシャープに撮れるレンズであることが分かった。ボディはちゃちだが、レンズは本物のようだ。これはいい買い物をした。

ah_img003.jpg 予想に反して? シャープな写り

 逆光にも意外と強く、あまり破たんしない。F8くらいまでならパンフォーカスにはならず、ちゃんと深度があるというのが面白い。F16まで絞ると、かなりきっちりした描写となる。開放でどんな絵になるか試したいのは山々ではあるが、シャッタースピードが1/125秒までしかないので、ND(減光)フィルタでも使わない限り、日中ではほとんどF8以上開けられないのが残念である。

ah_img023.jpg 逆光でもあまり破たんしないのはレンズコーティングのおかげ?

 露出に関しては、レンズ周りに書いてあるお天気マークを頼りに撮影すると、ほとんどがF16でシャッタースピード1/125秒となる。露出計の結果と比較してみると、2絞りぐらい暗いはずだが、普通に上手く撮れている。もしかしたら、シャッタースピードが数値より少し遅いのかもしれない。夏場はさらに光量が増すはずなので、またその時は案分してやる必要があるだろう。とはいっても、後はもう絞りを最小のF22まで絞るくらいしか方法がないのだが。

ah_img006.jpg 出張先のホテルの窓から。お天気マークに合わせただけだが、うまく撮れている

手ブレしやすいのは宿命?

 写真をよく見ると、どのカットも上部に少し光漏れがあるようだ。ボディと裏ブタの間はどこにもモルトを使った遮光が施されていないので、まあそのあたりから漏れるのだろう。あとでモルトを貼っておくとしよう。

ah_img013.jpg F16まで絞ると、かなりきっちりした写りとなる

 参考資料には「大変手ブレしやすい」とあったので、かなり注意して撮影したつもりだが、やはりシャッタースピードを1/60秒以下に落とすと、手ブレの影響が出てくる。

 手ブレの原因は、まず本体が軽すぎることが大きいが、それ以上にシャッターボタンが押しにくいことにある。カメラ上部ではなく、前面にあるものを下げるので、どうしてもカメラが下向きに動いてしまう。

 特に本機のシャッターボタンは、押し下げていくと最初のひっかかりで何かのロック機構が外れ、その後実際にシャッターが切れるようになっている。この最初のひっかかりが非常に堅いので、次にやってくる軽いシャッター動作時に勢い余ってブレてしまうようだ。

 いろいろ持ち方を工夫してみたが、右手人差し指はカメラの固定に回し、シャッターボタンを中指で押すようにすると、多少安定するようだ。だがやはり、カメラ前面にシャッターがある構造は、歴史を見るとあまり成功しなかったようである。

 同様の位置にシャッターがあるカメラとしては、リコー オートハーフの初期型が有名だが、これも2世代目からは上部にシャッターボタンを移している。一眼レフではトプコンあたりが有名なところだが、あまりその構造は支持されていないようだ。

 そもそもなぜこの位置にシャッターボタンがあるかといえば、レンズシャッターの場合はこのあたりにトリガー機構があるからである。押し込み動作をあまり連結しないでシャッターを切らせるためには、都合が良かったわけだ。その原型はZEISS CONTESSA 35あたりの構造に見ることができる。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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