ネオナチを許してはいけない……極右政党NPDの台頭松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2010年02月16日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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反ネオナチ運動に軍配

 NPDに関して、昔、こんな経験をしたことがある。

 住んでいる街の広場で何やら集会が開かれ、通りではデモ行進も行われている。白いヘルメットに緑色の制服を身に付け透明な盾と警棒を持った警官が目立つ、物々しい雰囲気だ。

 原因はNPDによる合法の演説集会だったのだが、20人ほどのNPDメンバーと、それを取り巻く数百人の群衆の間に警官が壁を作り両者を分離していた。写真を見ても分かるのだが、実は警官が守っているのは中心のNPDメンバーである。広場には「NPDは出て行け!」という反ネオナチの声が渦巻き、放っておくとNPDメンバーと多数の市民の間で暴力沙汰になってしまうからだ。「ネオナチの集会」であるはずが、逆に「反ネオナチの集会」となっている様子を見て、筆者はドイツ社会の健全性を感じ取った。

 経済状態や社会情勢によりネオナチを代表とする排他的な動きは変化するが、「1万人の人間の鎖」をみても、今のところドイツの良識はちゃんと生きている。

NPDの街頭集会(2001年、カールスルーエ市)
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