コラム
» 2010年02月16日 08時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:ネオナチを許してはいけない……極右政党NPDの台頭 (1/3)

ドイツにはNPD(ドイツ国家民主党)という極右政党があり、いわゆる右翼活動に関わっている。NPDはヒトラーを率いたナチス・ドイツの思想を引き継いでいるが、彼らの存在はドイツを脅かしているのだろうか。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 第二次世界大戦末期のドレスデン大空襲65周年となる2月13日、同市内では犠牲者を弔う追悼集会が開かれた(関連リンク)。ネオナチ(極右グループ)もこの機を利用してデモ行進を計画したが、これに対して1万人の市民が「人間の鎖」で阻止行動に訴える、という出来事が起きた。

 ドイツの全国紙フランクフルター・アルゲマイネも「市内を警戒する機動隊」「暴徒化した右翼グループに放火されたゴミ箱」「ネオナチのデモ行進阻止を訴える市民グループの垂れ幕」「広場に集まった市民(人間の鎖)」などの写真とともにこの事実を報じている。

 ドレスデン大空襲が行われた1945年2月当時、ドイツの敗戦はすでに明らかとなっており、大規模な爆撃に戦略的な意味はなかったとされる。また軍事的な要衝ではなく、しかも防空の手薄なドレスデンへの無差別爆撃には、その後英国でさえ非難の声が上がった。3万(一説には10万人)を超えるドレスデン大空襲の犠牲者を弔う気持ちはドイツ人に共通するものなのだが、ネオナチはその心理をすり替えてドイツ至上主義やナチズムの正当化に利用しようとしている。

yd_matuda1.jpg 第二次世界大戦で破壊され、2005年に再建を終えたドレスデンの聖母教会。同市の平和の象徴、そして観光名所としても有名で、見学者が長蛇の列をなしている

極右政党NPD

 ドイツにはNPD(ドイツ国家民主党)という極右政党があり、いわゆる右翼活動には多かれ少なかれ必ず関係を持っている。1964年に創設されたNPDはヒトラーの率いたナチス・ドイツの思想を受け継ぎ、全国に約5300の党員がいるとされる(全国紙ハンデルス・ブラットより)。

 しかしながら、NPDに代表される極右勢力も公にナチス・ドイツを信奉することはできない。ナチス・ドイツを正当化する発言や行動は法律で禁止されており、「ユダヤ人やジプシーの虐殺はなかった」といった発言やナチス・ドイツ式の「右手を高く伸ばした敬礼」、そしてシンボルマークである「カギ十字」の使用さえ禁止されている。ネオナチがカギ十字を使えないことはもちろんだが、反ネオナチの立場からの利用も同様に禁止だ。反ネオナチの目的で「カギ十字の上に×印」のデザインをTシャツに刷った人がいたのだが、裁判で争われた結果、やはりこれも違法と判断されている。

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