あなたも迷っていませんでしたか? 27歳ころの転職吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年02月12日 08時33分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 27〜28歳と言えば、大学を卒業して働き4〜5年が過ぎたころだ。この時期になると、いまの仕事に疑問や不満を感じたり、次の会社に転職する人が増えてくる。大学院や資格の学校に通い、学び直す人もいる。

 私も1990年代中ころ、27歳だったとき『27歳の転機――誰もが悩み、そして決断した』(B-ing編集部/編、メディアファクトリー)という本を手垢がついてボロボロになるまで読み込んだ。この本は、当時活躍していた作家などが27歳のとき、いかに悩み、どのようにして会社などを離れたかを記録したものだ。私も、感性がマヒした上司(私にそう思えた)とのあつれきに嫌気がさしていただけに、これを読むと癒された。

 今回は、数多くの会社の労働相談を受ける2人の社会保険労務士に話をうかがった。大阪を拠点に活動する小見山敏郎氏と都内及び近郊、ときには北海道や九州までに足を伸ばす日本中央社会保険労務士事務所の内海正人氏だ。

27歳の心理

マンガで解答!困ったときの労働法Q&A』(著・小見山敏郎氏、こう書房)

 2人とも人事コンサルタントしてベテランであり、20代のころ大企業に勤務していた。お聞きしたポイントは、「27歳ころになると、転機を迎えるのはなぜか」「会社の採用や育成に問題はないか」「この年代の会社員は何に気をつけていくべきか」などだ。小見山さんは大手予備校に勤務しているとき、20代後半に国家資格である社会保険労務士の試験を受けた。

 「当時の上司とどうしても合わなかった。ブランドにあぐらをかいた上層部の姿勢を見てると10年後は安泰でも20年後にはどうなってるのか分からないという気になって危機感すら持った。ここでずっと働く気にはなれなかった」

 そして、27歳の心理を語った。

 「このころは、ある程度仕事に慣れてきて多少の自信が芽生える。社内派閥とか、どこまで昇進できるかなどもある程度分かってくる。そこで俺の人生はこんなことでいいのいかな、と思い始める。職場では、同期生の中から主任や係長になる人も現れて、“勝ち組と負け組”の仕分けが始まり、いよいよ迷いの中に入る。上司との人間関係も当然、考えるでしょう」

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