転職に成功する人、失敗する人中澤代表に“働く”について聞いてきた

» 2010年02月12日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 小さなときからアナウンサーに憧れていたSさん(25歳)。いまでは製薬会社で働いているが、夢をあきらめきれないため、いまひとつ仕事に興味を持てないようだ。そんなSさんに、ウォルト・ディズニー・ジャパンの商品ライセンス部門「ディズニー・コンシューマ・プロダクツ」で日本代表を務める中澤一雄氏はどのように答えたのだろうか。

男性Sさん(25歳)、製薬会社勤務

 大学を卒業し、製薬会社で働く3年目の営業マンです。製薬会社に就職し、そこそこの成果が出ていて、上司からもほめられています。ただ仕事内容には全くといっていいほど、興味が持てなくて悩んでいます。

 実は小さいころからアナウンサーになるのが夢で、就職活動のときにアナウンサーの採用試験を受けました。そして最終面接まで進んだのですが、健康診断で病気が見つかってしまい、不採用という結果に終わりました。そして今の会社に就職したわけですが、「アナウンサーになりたい」という気持ちが強く、なかなか仕事に集中できません。いまでは体調も回復し、アナウンサー試験を受けることもできます。年齢的なことを考えれば、ラストチャンスではないかと思っています。

 小さいころからの夢であるアナウンサーの試験にチャレンジするべきか。それとも社内での実績が固まりつつある今の会社で頑張るべきか。どうすればいいでしょうか。


転職に成功する人と失敗する人

中澤一雄日本代表

 私はこれまで、約3000人の部下とともに仕事をしてきました。もちろん私が上司のときに転職した部下もたくさんいますが、成功した人と失敗した人がいます。転職で成功する人と失敗する人……どのような違いがあるのか考えてみたところ、失敗した人に共通する点としてこのようなことがありました。それは会社に退職届を提出してから、就職活動を始めるということ。

 会社を辞めてから次の就職先を探すと「早く新しい働き口を見つけなければならない」といった「焦り」を感じる人もいるのでは。焦っていては自分を“高く売る”ことは難しくなるのではないでしょうか。最悪の場合、自分にとってあまりよくない会社で働くことになるかもしれません。満足のいく年収を確保できなかったり、納得のいく仕事をすることができなかったりするかもしれません。

 また「辞めた会社よりも、もっといい会社に転職したい」という人もいるでしょう。しかし高望みばかりしていると、1年以上就職浪人を強いられる可能性も出てきますので、注意する必要があります。

 「夢にチャレンジする」ということは相当なパワーがなければ実行できません。また実現することは、さらに難しいことです。しかし、その人の夢が本当の夢であれば、どんなに辛い状況であってもそれを乗り越えることができると思います。なので前向きな気持ちだけは忘れないでいてほしいですね。

 ちなみに私はこれまで、4回の転職を経験してきました。もちろん次の就職先が決まってから、会社に退職届を提出してきました。ご参考までに。

プロフィール:中澤一雄(なかざわ・かずお)

1973年同志社大学工学部卒業後、日本マクドナルドに入社。1999年、ディズニーストア・ジャパンにストア・オペレーションのディレクターとして入社。87店舗のストア・オペレーション、店舗開発などに携わり、3年間で事業規模を2倍にした。2002年、日本ケンタッキー・フライド・チキンに入社。取締役執行役員常務として1150店舗を運営、1000人のマネジメントの総責任者を務めた。2008年4月、ウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。同年10月、ディズニー・コンシューマ・プロダクツの日本代表に就任。現在に至る。


編集部からのお知らせ

連載「“働く”ことについて」では、読者の皆様からの相談を受け付けております。投稿についてはこちらからお願いします。なお、受け付けました内容に関しては、記事中でご紹介させていただくことがございますので、ご了承ください。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.