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» 2010年02月10日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:東京〜大阪間500円!? 平成エンタープライズ社の挑戦 (1/2)

高速料金値下げや無料化など市場環境も変化する中、ますます競争が激化している高速バス市場。激しい競争の裏には、企業の試行錯誤がある。東京〜大阪間500円という破格のキャンペーンを打ち出した平成エンタープライズ社の狙いはいかに。

[金森努,GLOBIS.JP]
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それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年2月5日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


ah_kana1.jpg Creative commons.Some rights reserved.Photo by luisvilla

 あらゆる業界で競合環境が熾烈を極めている。さらに拍車をかけているのが「比較サイト」の存在だ。

 比較サイトの登場で、消費者がインターネットを通して企業と同等の豊富な商品情報を取得できるようになり、情報格差が解消。購入の際に不利益をこうむることがなくなった。「情報の非対称性」の解消の一例だ。

 しかし、実際には、非対称は売る側と買う側の立場が逆転したのが今日だともいえる。商品価格の比較が容易になり、消費者は最安値の提供先から商品・サービスを購入する。それは、販売元の企業は自らも知らない相手との競合にさらされていることを意味する。

 掲載されている価格比較サイトを意識しつつ、競争に勝つために最安値を提供し続けることになる。すべての業種・業態が同様な状況なわけではない。しかし、差別化が難しく、購入頻度が高い商品・サービスほどこの傾向は顕著だ。

 そんな業界で「奇策」とも思える打ち手に出た企業がある。高速バス「VIPライナー」を運行する「平成エンタープライズ」だ。

 高速バスは1980年代から主要都市間を結ぶ移動手段として、価格の安さを武器に利用者を拡大。1990年代後半に競争激化と需給バランスの不均衡で淘汰(とうた)を経たが、2001年2月の道路運送法が規制緩和。バス事業が免許制から許可制へ移行され、新規事業者が参入。新規路線開設も相次ぎ価格競争と車体・客席の乗り心地向上といった生き残り競争の時代に突入する。

 現在、高速バスの最安値はインターネットで検索すれば、数多くの比較サイトから見つけることができる。そこでの最安値は、例えば2月中旬・東京〜大阪が3500円である。新幹線のぞみなら1万4050円。実に4分の1だ。

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