信用収縮=リスク資産からの逃避の動きで大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年02月05日 16時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が大幅下落となったことや為替が円高となったことから売り先行となり、大幅下落となりました。日経平均先物を筆頭に売り気配から始まるものが多く、寄付きから売りが嵩んで大きな下げとなりました。ここのところ好決算を織り込むように戻り歩調となっていたこともあり、目先筋の利益確定売りや手仕舞い売りも嵩んで下げが加速されたものと思います。加えて米国雇用統計の発表やG7を控えた週末ということで、買い手も限られていたようです。

 大きな下落となりましたが、こうした相場に大きな動きがあったときはどうしても大きな動きについていかなければならないという雰囲気になってしまうものです。ほぼ全面安という状況では「何を買ってもだめだろう」と思い、まだまだ下がってしまうのではないかと思うものです。逆に大きく上昇しているときは何でも上がるのではないかと強気になってしまうものです。目先的な売買をする向きはそうした短期の相場の方向を知ることが必要となりますが、中長期的に相場を見るのであれば大きなトレンド=方向を見ておけば大きな下げの相場でも「売り」ではなく「買い」ということもあるものと思います。

 ただ、一昨年の10月や11月のように大きな下げが「これでもか」というくらい続くこともあり、下落の背景となっている事、市場の買い手や売り手がどのような人達なのかなどをしっかりと見極める必要もありそうです。また、過去の事象と比べて見るということも同じような相場であれば、同じような心理になることが多いので有効ではないかと思います。今回の1月からの下落も、昨年7月や11月の下落のようなものなのか、あるいは昨年1月から3月までの下落のパターンと同じなのか、などを考えて見るといいものと思います。

 もちろん、全く同じ事象ということはありえないのですが、たとえば「前回はヘッジファンドがリスク許容度の低下で持ち株を売ってきた」ということで大きく下落したのであれば、今回のリスク許容度の低下した局面でヘッジファンドが売ってきているのか、円キャリー取引の解消の動きが出ているのかなどを考えて見ると「そろそろ下げ止まりそうだ」とか「まだまだ売りが出てきそうだ」などということは何となくでも見えてくるのではないかと思います。そして、大きな下落も一過性のものか下落の始まりなのか少し見えてくるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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