欧州での信用収縮の動きや雇用に対する懸念から大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年02月05日 09時03分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10002.18▼268.37

<NASDAQ>2125.43▼65.48

<為替:NY終値>89-89.06

欧州での信用収縮の動きや雇用に対する懸念から大幅安

 欧州中央銀行(ECB)理事会でギリシャなど財政不安が取りざたされたことに加え、金融危機対策として導入された資金供給拡大措置を一段と縮小することが3月の理事会で議論されると伝えられ、「出口戦略」が取りざたされたことで信用収縮懸念が強まり、売り先行となりました。朝方発表された新規失業保険申請件数で雇用に対する懸念が強まったことも雇用統計の発表を前に下げを加速させる要因となったものと思います。信用収縮の動きからリスク資産からの資金流出が一気に起こり、商品市況も大幅下落、株式市場もほぼ全面安となりました。

 これまでの世界的な景気の落ち込みからの金融緩和が見直され始め、米国の金融規制の問題も含めて資金を「絞る」方向となってきました。世界的に信用収縮=金融引き締めの方向に流れてしまうのではないかとの懸念で一気に売り急ぐ格好となったものと思います。安全資産として債券が買われていることがせめてもの救いであり、百貨店売上高も好調で個人消費の底堅さも見られ、行き過ぎた引き締め懸念からの反発も期待できるものと思いますが、これまでのような金融政策頼みというわけには行かなくなったものと思われ、戻りも限定的、後は業績面からの底上げ期待ということになりそうです。

 個別の材料で反応する動きというよりは「株式などリスク資産からの脱却」という格好で、ダウ平均採用30銘柄のうち高いものは前日の引け後に決算を発表売上高見通しが予想を大きく上回ったシスコシステムズだけ、底堅さが見られるのもディフェンシブ銘柄のクラフトフーズだけといった状況で、バンク・オブ・アメリカの5%の下落、JPモルガンの4.8%の下落を筆頭に大幅安となるものが多く見られました。予想を上回る利益見通しを発表したギャップやメーシーズ、決算が予想を上回ったバーガーキングが堅調となるなど好決算、見通しを発表したものは買われました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は為替は円安気味であったのですが、輸出関連銘柄を中心に利益確定売りに押されるものが多く、軟調となりました。決算が出揃いつつあり、決算動向への反応も見られるのですが、好決算でも出尽くし感などから売られるものも見られ、ここのところ堅調となっていたものが軟調となって、軟調となっていたものが堅調となるなど持高調整の動きも見られました。後場には下げ幅を広げる場面もありましたが、業績回復が見られるだけに売り込み難く底堅い展開となりました。

 欧米の市場が大幅下落、為替が急激な円高ということで売り先行となりそうです。どこで下げ止まるかというところが注目されますが、「安全な資産への逃避」と言う事で「日本買い」となれば円高ということもあり、内需関連銘柄やディフェンシブ銘柄が底堅くなってくるかもしれません。いずれにしても輸出関連銘柄は好決算を発表した銘柄でも先行きに対しての懸念が強まり、売り先行となってしまうものと思われます。欧米ほどに金融不安や出口戦略が取りざたされているわけでもないので、底堅さが見られるかもしれませんが、信用収縮からの「円キャリー取引」の解消などの持高調整の売りが出れば大きな下げとなってしまいそうです。

 シカゴ市場(CME)の日経平均先物が一時10000円の大台を割り込む場面もあり、10000円水準までの大きな下落となる可能性もありそうです。ただ、単純に節目と見られる水準は10100円台半ばから200円台半ばであり、まずはその水準で下げ止まるのかどうかが注目されます。ただ、10000円を意識するところ、あるいは割り込むところでは達成感などから買戻しも期待され、下げ止まるのではないかと思います。引け値ベースで10100円台を保てるのかどうかが注目され、保てれば引き続き昨年8月のもみ合いと同じような動きと見ておいていいのでしょうし、割り込んでしまうようであれば昨年7月や11月のように下値を探る動きとなるのでしょう。

本日の注目点

◇G7財務相・中央銀行総裁会議(カナダ・イカルイト、6日まで)

◇12月の景気動向指数(内閣府)

◇1月の米雇用統計

◇決算・4−12月期:パナソニック(6752)、国際石油開発帝石(1605)、博報堂DYHD(2433)、松屋フーズ(9887)、カシオ計算機(6952)、テレビ東京(9411)

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