20XX年……大手新聞は生き残っているのか上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(10)(2/4 ページ)

» 2010年02月05日 11時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
ジャーナリストの上杉隆氏

上杉 新聞記者は取材して、分析し、自分の主観を入れて書く。通信社の優秀な記者は新聞記者になるし、ダメな新聞記者は通信社の記者に格下げとなる。そして頂点にフリーランスがいる。ニューヨーク・タイムズには300人ほどの記者しかいませんが、多くの記事は通信社によるもの。

 しかし日本の大手新聞紙は、すべて同じような体質。毎日新聞の記者は3000人、朝日新聞は4000人、読売新聞は5000人といった感じで、しかもみんな給料が高い。ダメな記者にも高い給料を支払わなければならないので、コストのことを考えればもっと通信社に頼ってもいいはず。なので毎日新聞の記者3000人のうち、300人を残し、残りは2700人を通信社に異動してもらう。そうすればかなりのコストを削減できるはず。

 そして残った新聞記者の給料は、2〜3倍あげてもいいと思う。こういった形でビジネスモデルを組み替えていけば、新聞社もとりあえずは生き残っていくのではないでしょうか。毎日新聞は共同通信から記事提供を受けることを発表しましたが(関連記事)、もはやその道しか残されていなかったのでは。さらにもしブロガーを使えるのであれば、記者の数はもっと減らすことができるかもしれませんね。

小林 そうですね。新聞社はまだまだコストカットができるし、世界中に優秀なブロガーやビデオジャーナリストがたくさんいます。彼らをうまく使うことで、新聞社にも今後の可能性はあると思っています。

 僕の知り合いは、外国人を雇って日本のサブカルチャーを中心に情報を配信しています。少人数で運営していて、十年以上も運営している。こうしたことは日本人がやればいいのに……といったケースはたくさんありますね。なぜ日本人ができないかというと、言語の問題があります。だからこそ、僕は「日本のメディアはアルジャジーラを目指せばいい」と言っています。

 アルジャジーラはアラビア語圏のニュース局でしたが、いまでは英語によるニュース配信を行い、YouTube上にもあれば、日本も含めた全世界に進出しています。

上杉 NHKの国際放送は、もう考え方が古くて古くて。海外の人が求めていない内容を放送したりして。どんな人があの放送を見ているんだろう? などと思ってしまいますね。日本人だって、あんな内容に興味を持つ人はいないはず。事業仕分けされたらいいのに(笑)。

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