コラム
» 2010年02月03日 08時00分 UPDATE

どこのオフィスにもある「でっかいゴミ箱」

オフィスにおいて自分の机が決まっていない状況を作り出すフリーアドレス。筆者がフリーアドレスを試した時、同僚とのコミュニケーション活発化といった精神的な効用のほか、物理的にも思わぬ効用があったようです。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

1988年リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。人事専門誌・業界誌・一般誌などにも人事関連分野で多く取り上げられていただき、ラジオ番組のレギュラーを持っていたこともあります。京都大学教育学部卒。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 昔、フリーアドレスに挑戦したことがあります。約20人の部員がいる部署で、私は課長さん。目的は忘れてしまったのですが、何か変化が欲しかったのか、新しいこと好きの血が騒いだか、そんな曖昧(あいまい)な感じだったと思います。フリーアドレスとは、住所が自由・不定ということで、オフィスにおいて自分の机が決まっていない状況を作り出すことです。だから、朝出社してきたら自分の机にヨッコラショと座るのではなくて、どこに座るか考えないといけません。来た順に、自由に座っていきます。

 何が良いかというと、自分の机ではない(明日は違う人がそこに座る)ので帰る時には片付けてというか、何もない状態にして帰らないといけませんから、机の上がきれいになります。隣に座る人がしょっちゅう変わるので(毎日が席替え)、ちょっとだけ楽しい。うまくすれば、さまざまな人の業務状況や仕事の中身がよく分かるようになる、といったことがあります。机だけではなくて、PCも自分のものではないので(本当はもともと会社のものですが……)、ハードディスクに変なものを残したり、乱雑に保存したりできませんし、履歴が残るのでインターネットで遊んだりできません(個人作業は、共有サーバーに個人ごとにロックがかかったフォルダーを作って、そこで行います)。

 これは、自分ではかなり気に入って、うまく機能したように感じたので満足していたのですが、一部の偉い人にはどうでもよいことに力を入れているバカ扱いされたりしましたし、私が異動になったら元に戻ってしまったのはコケそうになりました……。結局あれから10年くらい経ちますが、世の中で流行っていませんので何かイマイチな部分があるのか、取り組みの面倒さの割に効果がないのか、「自分の机がある」ということが大事なことなのか分かりませんが何かあるのでしょう。オフィス空間や職場環境に対して、経営というものはまだまだ鈍感であるということかもしれません。

どこのオフィスにもある「でっかいゴミ箱」

 とはいえ、フリーアドレスをやった際に発見した(ちょっとだけ)スゴイことがあります。当時、キャビネットが10本(上下で20本)くらいあったのですが、それを機に中を全部チェックして捨てていったら、何と2本(上下で4本)になったこと。8本の背の高いキャビネットの中には、部内の誰も必要としていない資料が保管されていたわけです。8本の背の高いキャビネットが、ゴミ箱と化していたのは、当時結構な驚きでした。皆さんのオフィスも、ゴミだらけになっていないでしょうか。ひょっとして、日本中のオフィスにあるキャビネットの半分くらいは、実質的にゴミ箱だったりして……と想像したりします。

 「キャビネットを整理しよう」「整理整頓が大事」ということを申し上げたいのではありません。大きなゴミ箱が占めている賃料は、どのくらいになるのだろうと計算してみる。大きな地震が起こった場合に、これらの大きなゴミ箱が転倒してきたら危険ではないかと想像してみる。自分の机はきれいにするのに、共有部分はゴミ箱と化してしまうという1人1人の意識にメスを入れる。IT化ということで、各種の作業や連絡、スケジュール管理などは効率化されたが、省スペースが進まないのは何故か。「捨てる、捨てない」を決める際に、リーダーはいつも「とりあえず残しておこうか」と言うのはどうしてか。大きなゴミ箱を通して、そんな大切な事柄が見えてきます。(川口雅裕)

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