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» 2010年02月03日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:シェリーメイに大行列! ダッフィーを生かしたディズニーの巧みな戦略 (1/2)

1月22日に東京ディズニーシーで発売され、購入まで最長5時間待ちだったというクマのぬいぐるみ「シェリーメイ」。大人気のテディベア「ダッフィー」のお友達という設定だが、その存在にはディズニーの戦略がたっぷり仕込まれているのだ。

[金森努,GLOBIS.JP]

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年1月29日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


 ダッフィーは恐らく近年のディズニー関連グッズの中ではたぐいまれな大ヒット商品であろう。2009年10月に放映されていた月9ドラマの「東京DOGS」で、刑事コンビを演じる小栗旬と水嶋ヒロが掛け合いのセリフで「ダッフィーちゃん抱っこしたことあるか?」とギャグを飛ばし、多くの視聴者がそれを理解できてしまうほどの知名度である。

 「え! 聞いたことない」という大人たちのために、そのブームの一端を紹介したい。2009年4月4日付週刊東洋経済に掲載された記事「『ダッフィー』突然ブレイクの謎、ディズニーシーで持ち歩きが急増」から引用する。

東京ディズニーシー(TDS)で限定販売されているテディベア「ダッフィー」の人気が沸騰している。関連商品を扱うTDS内のショップには開園と同時に客が殺到し、一番人気のぬいぐるみ(定価3800円)が常時品切れになっている。パーク内では休日になると、等身大キャラクターとの写真撮影に最大1時間待ちの行列ができるという。2009年3月期の関連商品売り上げは前期比3倍程度に急拡大する見込みだ

 筆者の自宅でも増殖を続けている。最初に標準というか、こどもが抱いて持ち歩くサイズのものが1体やってきた。続いてその半分ぐらいのサイズ。キーホルダーサイズも。最初の1体は頻繁にお色直しをしている。何やら衣装持ちである。

 実はこのダッフィー、特異なキャラクターなのだ。映画やアニメなどの原作などがなく、元々「ディズニーベア」という名前だった商品にストーリーを加味し、「ダッフィー」と命名して販売したもの。

 東京ディズニーシーの公式ホームページの記述を引用する。

ミッキーが長い航海に出る前の夜、ミニーはミッキーがひとりぼっちで寂しくならないようにと、ミッキーのためにテディーベアを作りました。「ありがとうミニー!」。ミッキーはミニーが心を込めて作ったプレゼントをとてもよろこびました。(以下略)

 「ミニーが作った」というところがミソだったのかもしれない。大ヒットし、多くのファンがダッフィーを抱いて来園するようになった。街でもカバンにキーホルダータイプや小型タイプをぶら下げて歩く人も多くなった。そこで、またまたミニーの出番である。同じく公式ホームページの記述。

 ミニーはダッフィーのお友達を作っています。「きっとよろこんでくれるわ!」。ダッフィーはミニーからのプレゼントにちょっとはにかみました。目の前にかわいらしい女の子のお友達があらわれたからです。ハートのかたちをしたペンダントがとってもチャーミング! 「よろしくね、シェリーメイ!」

 何が起こるか。当然ファンは買う。いや、買わねばならないのだ。ファンであるほどに。

 シェリーメイの出現は、リカちゃん人形にボーイフレンド(初代)として立花わたるくんが発売されたのとはわけが違う。

 恐らく、筆者の自宅にも長時間行列しなくても買えるような安定供給がなされたころには、シェリーメイがやってくるだろう。そして、バリエーションや衣装が増殖していくのだ。

 さて、このようにディズニーランドを運営するオリエンタルランドが独自のストーリーまで作って、グッズ販売に力を入れるのには、ちょっとした背景もあるようだ。

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