日本航空再生の青写真は描けるか――稲盛和夫新会長就任会見(ほぼ)完全収録(2/5 ページ)

» 2010年02月02日 03時59分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

3つの施策に取り組む

大西 私は1978年にJALに入社し、技術畑を中心に歩んできました。2009年4月から日本航空インターナショナルの執行役員、2009年6月から日本エアコミューターの社長を務めていました。今後は稲盛会長とともに、JALの早期再生を果たし、お客さまから愛され、ご利用されるJALを目指して邁進(まいしん)していきます。今後ともよろしくお願いします。

大西賢新社長

 公的支援や会社更生法の手続き、申し立てについては、先ほど会長から説明した通りです。1月19日には株主のみなさま、お取引金融機関を始めとする債権者のみなさま、そして国民のみなさまに多大なご迷惑と、ご心配をおかけすることになり、心よりおわび申し上げます。誠に申しわけありませんでした。

 JALは半官半民の会社としてスタートし、その後民営化したものの、いまだにいわゆる親方日の丸の体質を引きずっている部分もあります。私たちは過去を謙虚に反省し、高コスト体質やしがらみなどの負の遺産を徹底的に断ち切り、根っこから生まれ変わります。過去と決別し、みなさまから与えていただいた再生のための最後のチャンスとして、社員全力でやりぬきます。今後は会長のご指導をいただきながら、社内の意識改革を進めるとともに、更生計画の策定に全力を上げ、早期に認可を目指すべく頑張っていきます。

 今後の大きな会社の方向性ですが、まず3つの経営施策に取り組みます。1つ目は、航空機材の大幅な刷新の実現。2つ目は、筋肉質かつ柔軟な事業運営体制の実現。3つ目は、戦略実現のためのリソースの集中投下。これらを実現していくことで、世界的にもトップレベルの強靭(きょうじん)な体質を持った新たなJALに生まれ変わります。

 言うまでもなく、安全運航は航空会社の経営基盤と社会的責務です。私も技術畑を歩んできた者として、「安全について一切の妥協は許されない」「安全に終わりはなく、追求し続けるものである」という信念が体の中に深く刻まれています。この安全とともに、航空会社の基本品質である定時性とサービスのさらなる向上に力を注ぎ、お客さまに大きな価値を見出していただける航空会社になることをお約束します。

 会長も申し上げましたが、社風の変革も早急に取り組むべき課題です。現在JALグループの社員たちはこの厳しい状況の中でも士気を高く保ち、安全運行と定時性において世界最高レベルのフライトを提供し続けています。

 社員1人1人がやりがいや働きがいを感じ、そして輝きを放つような会社にすることが、お客さまに安心や安全、心地よさを感じていただくことにつながると確信しています。自ら、変化していくための新たな一歩を踏み出します。最後になりますが、航空会社としてみなさまのお役に立ち続けていくこと、これこそがみなさまのご支援にお答えすることだと考えています。この目標に向かって社員一丸となって走っていきます。今後もJALをご利用いただきますよう、ぜひお願いいたします。

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