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» 2010年02月02日 03時59分 UPDATE

(ほぼ)完全収録:日本航空再生の青写真は描けるか――稲盛和夫新会長就任会見 (1/5)

日本航空は2月1日、同日付で就任した稲盛和夫新会長、大西賢新社長の記者会見を行った。1月19日に会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構の支援のもと、再生への道のりを歩み始めている日本航空。京セラやKDDIの経営で腕を振るった稲盛氏は、再建に向けてどのような青写真を描いているのだろうか。会見の模様を詳しくお伝えする。

[堀内彰宏,Business Media 誠]

 日本航空(JAL)は2月1日、同日付で就任した稲盛和夫新会長、大西賢(まさる)新社長の記者会見を行った。1月19日に会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構の支援のもと、再生への道のりを歩み始めている日本航空。京セラやKDDIの経営で腕を振るった稲盛氏は、再建に向けてどのような青写真を描いているのだろうか。会見の模様を詳しくお伝えする。(会見動画はこちら)。

できるだけ現場を回りたい

稲盛 本日は会長就任に際しての、私の思いをお話しさせていただきたいと思います。みなさますでにご存じのように、JALは1月19日に会社更生法の適用を申請し、企業再生支援機構の支援のもと、再生への道のりを歩み始めています。

ah_inamo.jpg 稲盛和夫新会長

 このような法的整理の道を選んだため、「これまで築き上げてきたJALのブランドイメージが大幅に低下するのではないか」「社員のモラルが低下し、航空機の運航にも支障が生じるのではないか」と危惧(きぐ)する声も多々ありました。しかし、おかげさまでJALグループの運航には何の混乱もなく、従来通り多くのお客さまにご搭乗いただいています。これはJALグループの全社員がこのような厳しい状況の中でも、お客さまを大切に思う心を忘れず、「JALグループで働いている」という誇りを失わず、懸命に努力をした結果だと私は思っています。それに増して、多くの国民や旅行会社などの関係者のみなさまから、「JAL頑張れ」と暖かい励ましとご支援をいただいた賜物と心から感謝を申し上げる次第です。本当にありがとうございました。

 私は本日JALの会長に就任しましたが、航空業界についてはまったくの素人です。JALグループの事業内容や経営状況についても、まだよく分かっていません。先週から1週間かけて一生懸命勉強しているところですが、ようやくおぼろげながら全体像が分かってきたようなくらいです。しかし、企業再生支援機構とJALの方々が一緒になって策定された事業再生計画について説明を受け、また私なりに分析もしましたが、私は長く経営に携わった者として、「この再生計画を確実に実行に移していきさえすれば、再建は十分可能だ」と思っています。

 本日から大西新社長を始めとする新しい経営陣、さらにはJALグループの全社員の方々と一緒になって、この再生計画を着実に、またできるだけ早く達成し、JALを早急に再生させたい、そうしなければならないと改めて決意している次第です。なぜなら、JALは日本を代表する企業の1つであり、JALの浮沈は日本経済にも必ず影響を与えると思うからです。JALがすばらしい企業としてよみがえることは、低迷する日本経済の活性化にも大きく貢献するはずです。

 また、いろいろと勉強していく中で、航空事業は遠くに離れた人々、また人と地域とを結びつける大きなネットワークビジネスであり、極めて重要な社会的インフラであるとよく分かりました。その重要なインフラを担うJALを早急に再生させることは、グローバル化がさらに進展する現代社会において最も重要なこととなるだけではなく、日本が観光立国としてさらに発展していくためにも必要不可欠なことであるとも考えています。

 もちろん、航空会社の基本は安全運航です。今までもJALは安全運航には万全を期してきましたが、今後、再建を進める中でもさらなる安全運航に努め、お客様に信頼され、安心していただける航空会社でありたいと考えています。

 古来より、「企業の性質はリーダーの資質にかかっている」と言われています。その意味で「私の責任は重大である」と自覚しています。航空事業では素人ですが、これまでの私の企業経営者としての経験から得た経営思想や経営管理システム、さらには私の人生から得た人間としてのあるべき姿や持つべき考え方をJALグループの社員1人1人に伝え、全員が同じような思いを持ち、一丸となってJALの再建に取り組めるようにしていきたいと考えています。再建の成否は「そのような体制を作り上げることができるかどうか」にかかっていると思います。

 なぜなら、「その企業に集う社員1人1人が心から会社を愛し、この会社の発展のために協力を惜しまない」という社風を作り上げることが経営を成功させる必須条件で、このような社風を作り上げることができれば、必ず会社は発展していくものだと思うからです。つまり、企業の最も大切な財産とは、そこに集う社員や、さらに言えばその社員の心だと思うからです。社員の方々が心から再建を望み、心から協力するならば、その企業は発展し続けることができると私は固く信じています。

 そのように考えているので、今後はできるだけ現場を回って、1人1人の社員と対面し、ひざを接し、彼らが何を思い、何を感じ、何を考えているかを直接聞き、また私の思いもお伝えし、彼らが「さらにJALグループで働きたい」「再建に協力したい」と思うような企業風土を築いていきたいと考えています。そして経営幹部と現場の1人1人の社員がベクトルを合わせ、お客さまに対してこれまで以上の心暖まるやさしいサービスと明るい接客に努め、お客さまから真に信頼され、愛されるようなJALによみがえらせていきたいと願っています。

 JALとともに日本を代表する航空会社として全日本空輸(ANA)が存在しています。私どもJALだけの再生、繁栄を目指すのではなく、両航空会社が切磋琢磨しながら、日本国内、また日本と世界とを結ぶ交通インフラの担い手として、日本経済、いや世界経済の発展にともに貢献していきたいと考えています。

 私自身もうだいぶ年ですが、身を粉にしてできる限りのことをさせていただくよう決意しています。関係各位のみなさま、また国民のみなさまの絶大なるご支援を心からお願い申し上げ、JAL会長就任のあいさつにさせていただきます。

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