求人募集の給与条件と実際の提示条件が変わる理由(2/2 ページ)

» 2010年02月02日 08時00分 公開
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提示条件が上がることも

 いやいや、「派遣コーディネーターを10年やっていますけど300万円でしたよ」という方もいるのでしょうか? 「絶対ない」と言えるほど強くは否定しませんが、その「10年」は1社で10年ですか? 2社ですか? 15社ですか?

 単に同業界にいた、だけでは「経歴」とは見なしません。特に転職歴・社歴が多い方は、年齢のマイナスより、実は職歴が著しくスペックに影響していることが多いのです。採用条件に、「転職歴3社まで。当社が4社目となるのを上限」など制限している企業は珍しくありません。特に伝統企業、大企業ではそういった傾向があるのではないでしょうか。つまり同業界で経験が求人通りあったとしても、それが企業として評価にならないものであれば(転職歴が多いなど)、結果として「スペックに満たない」と判断されます。

 経営者・採用責任者であれば、「採用」はゴールでないことを分かっています。採用して、戦力として稼働してくれなければ、まったく意味がないのです。短い社歴がたくさんという方は、この点で、採用社から評価されにくいのです。

 「外資系や金融系では転職が珍しくない」と言います。筆者も外資に長くいましたので、全否定はしませんが、それでも程度問題です。30歳で転職5回は、やはり外資でも、金融でも、よほど飛び抜けた業績でもなければプラスに働くことはないでしょう。まして40歳で職歴10社では、もう1人で独立してトレーダーをやっていけるくらいの実力でないと、企業もなかなか採用に踏み切れないでしょう。

 「正社員募集で応募したら、契約社員を提示された」などというのもありえます。これも給与と同じです。「契約社員ならお断り」であれば辞退すればいいのです。これは「正社員としてなら採用はしない。しかし契約社員ならOK」という答えなのですから、「それでもチャンスが欲しい」「機会さえもらえれば、成果を出す自信がある」ような方はチャンスとして生かせば良いし、「契約社員などお断り」という方はほかを探せば良いのです。

 最初から採用を約束する会社がないのは当然です。また多様化や専門化している最近の業務は、単純に職歴や経験だけで能力をはかれるものではありません。それを見抜いていく過程が採用選考です。それでも100%理解できることはありえません。普通は一緒に働いてみて、だんだんその実力が見えてくるものではないでしょうか。期待外れに「できる」、逆に「できない」、どちらもありますね。

 だから「求人情報の給与レンジ(想定年収350万円〜450万円)より低かった」の逆、「提示条件が500万円だった」例もあります。私自身の経験や、採用で実際に条件より高い提示をした経験があります。なぜなら「ぜひ欲しい」「他社に行ってほしくない」ので、より好条件を出して引き止めるためでした。欲しい人材なら、予算を上積みしても給与を高くすること自体は、多くはないかもしれませんが、実際にあります。

 これから社会経験を積む方は、ぜひこういった点を意識されると悔いの残りにくいキャリアにつながると思います。有名大学/院卒の学歴や社歴(有名企業・大企業職歴)はこんなところでもプラスになるのです。

 じゃあ、私のように人生が半分以上終わってる人は? 企業を説得すれば良いのです。「確かに転職歴も多く、また期待している経験と微妙に外れる。ただその分こういう経験が、こんな実績は、このように考えたら評価いただけないだろうか。この業界で果たしたこの実績は、御社のこの事業で応用が出来るのではないか」などといった説得ができるかどうかがカギです。なかなか話をするチャンスまで至れないのが、今の厳しい不況ですが。

 しかし、これほど厳しい求人状況にも関わらず、「私の経歴はそこに書いてあります。読めば分かるでしょ」的な、全然自らをアピールできていない応募書類は山のように見ています。活動中の方は、今一度書類を見直しましょう。(増沢隆太)

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