東京で集めた税金は誰のモノか坂村宗彦の地方財政から格差を見る(1/3 ページ)

» 2010年02月02日 08時00分 公開
[坂村宗彦,Business Media 誠]

坂村宗彦(さかむら・むねひこ)

1965年生まれ。千葉大学大学院修了後、某大手シンクタンクで自治体の行革支援などを手がけている。


 地方自治の現状をリポートする連載「坂村宗彦の地方財政から格差を見る」。第2回のテーマは東京都です。

 →誰が夕張市の借金を返しているのか(第1回)

 まず、東京都内から納められる税収について考えてみましょう。これは東京都(都庁)という一自治体の財政問題ではありません。東京都内に暮らす個人や、仕事をしている企業からどのくらい税収(国税・地方税の合計)があって、そのうち都庁や都内の区市町村で使われる税金の比率はどのくらいなのか、という話です。こういう数字は国(財務省)にも東京都にも必要なものではないので、データはほとんどありません。

 東京都の財政について考えるということは、東京都(都庁)という一自治体の財政問題ではありません。東京都内に暮らしている個人や、仕事をしている企業からどのくらい税収があって、そのうち東京都内の自治体以外で使われる税金の比率はどのくらいなのか、という話です。国(財務省)にとっても東京都にとっても必要なものではないので、実はこういう財政データを整理したものはほとんどないのです。

 大都市に暮らしていても、地方に暮らしていても、国税を納める以上は「地方共同のお財布」である地方交付税特別会計の負担をしていることには変わりありません。しかし、みなさんもうすうす感じていることだと思いますが、大都市と地方では負担している税の額に大きな開きがあります。2007年度の国税収入は約55兆円ですが、このうち東京国税局(管轄は東京都、神奈川県、千葉県、山梨県)で徴収する税額は27兆7000億円に上ります。

 東京国税局のほかに関東信越国税局も加えると約32兆円となります。ちなみに全国に国税局は12あって(沖縄国税事務所含む)、東京国税局の次に税額が大きいのは大阪国税局ですが、その税収は8兆9000億円です。東京国税局の守備範囲は4都県にわたっているため、東京都内の国税収入はこれだけでは正確に分からず、大雑把に考えるしかないのですが、法人税収が相当多いことを考えて、ここでは20兆円と仮定して話を進めます。

 誤解がないようにしつこく書きますが、これは国税のみの話です。国税とは別に、地方税も徴収されています。大都市と地方では不動産価格に大きな差があることを考えると、市町村税である固定資産税にも相当差があることはイメージできるでしょう。ここまで見ると明らかですが、首都圏の税収は全国の中でも圧倒的な大きさを占めています。

国税局別国税収入(2007年度)
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