新聞社や出版社で働く人は、なぜ“原理主義者”が多いのか上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(7)(3/3 ページ)

» 2010年01月29日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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原理主義の人が多いメディア業界

小林 新聞社も出版社も、彼らはある意味「原理主義」なのではないでしょうか。一神教なので、上杉さんのような同胞の方から自分の会社を批判されることに対し、ものすごく反発する。僕のような外の人間が批判するよりも、反発がひどいのかな。

上杉 昔は冗談で「ボクはメディアの同業者から嫌われているんだ」と言ってましたが、最近では本当に「蛇蝎(だかつ)のごとく嫌われている」と感じています。辞書には「蛇蝎のごとく」と書かれていますが、いままで口にしたことはなかった。しかし、記者クラブ批判を徹底しているいまの自分は、まさにそういった立場になってしまったと日々の取材現場で実感しています。

 例えばテレビ番組が終了したあとに、政治家と一緒に歩いていると、ぶら下がり取材をするために記者たちが詰め掛けてきます。以前だったら、彼らと話す機会も多かったのですが、最近では目も合わしてくれない。たまたまそれを見ていたテレビ局の人は「本当に上杉さんって、嫌われているんだあ」と感心されてしまいました。でも、私に対して反論があれば直接言ってきたらいいのに、誰も言ってこないんですよ。

小林 蛇蝎のごとく……あまり使う機会がない言葉ですよね(笑)。

上杉 彼らからすると、どのように対応すればいいのか、分からないのかもしれない。「同じメディアの人間なのに、どうして記者クラブのことを批判するの?」といったことを思っているのかも。

小林 ほら、やっぱり原理主義者だ(笑)

上杉 私は裏切り者のユダのようなものですね。宗教裁判でもかけられている感じがしますよ。

小林 彼らからすると「自分たちの神を冒涜(ぼうとく)した奴」と思っているのでは(笑)。

 第8回へ続く

上杉隆(うえすぎ・たかし)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。富士屋ホテル勤務、NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年にフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『小泉の勝利 メディアの敗北』(草思社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など著書多数。


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