決算発表に一喜一憂しながら先物主導で大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年01月28日 16時06分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国市場が堅調、為替も円安に振れたことから買い先行で始まり、大幅高となりました。後場に一段高となったように特に材料らしい材料があったわけでもないのですが、好業績銘柄などを中心に大きな上昇となりました。業績の下方修正があったものなどは大きく売られるものも見られましたが、上昇も下落も「行き過ぎ」となっていたところを見ると、市場参加者は相変わらず限られており一方向に動き安くなっているということなのでしょう。

 オバマ大統領の一般教書演説を取り沙汰して上昇理由するコメントなども見られ、FRB(米連邦準備理事会)があたかも「出口戦略」に言及したかのようなニュースもありましたが、単に目先筋のまとまった買戻しなどがあったということではないかと思います。米国でも日本でも大衆迎合的な政策を掲げるケースが多く、決して企業収益に寄与するということでもないのでしょうが、分かりやすいメリットなどは歓迎されるということなのでしょう。

 鉄鋼会社が原料の上昇を価格に転嫁するというニュースで買われる場面もありましが、目先の決算を下方修正して売られてしまうなど、先が読み難いということでわかりやすい材料、目先的に株価に反応しそうな材料に敏感に反応してしまっているようです。大衆迎合主義にしてもこうした付和雷同ばかりの相場にしても、実際にその中に入っていると「皆と同じ」と言うことが居心地が良く、同じ様な参加者ばかり、大衆ばかりが集まって、お互いに間違っていても納得してしまっているのでしょう。

 デフレ脱却も同じようなことで、「安いものが良い」と盛んに宣伝し、それがもてはやされるものだから「安ければ良い」ということになり、安いものばかりを買うことがデフレを助長し、財政を悪化させ、自分の給料が減ることに繋がるというところまで考えが行かないのです。「百貨店で買う」と言うことが「安売り店で買う」ことと違う、というように売る方も買う方も認識して差別化できるようになれば、デフレも脱却できるのではないかと思います。株式投資や投機が皆と同じことが正しいことだとは限らないのと同じ様に普段の生活でも大衆が必ずも正しいわけではないということを考えて見るといいのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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