経済指標はまちまちだが引き続き金融規制などを嫌気して軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年01月27日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10194.29▼2.57

<NASDAQ>2203.73▼7.07

<為替:NY終値>89.66-89.72

経済指標はまちまちだが引き続き金融規制などを嫌気して軟調

 朝方発表になったS&Pケース・シラー住宅価格指数が下落したことなどから売り先行で始まりましたが、消費者信頼感指数が改善したことを好感する動きや好調な決算に反応する動き、値ごろ感からの買戻しなどもあって堅調となりました。ただ、FOMC(公開市場委員会)の発表を控えている上に中国の金融引き締めや米国での金融規制が足かせとなって金融株を中心に売られ最後は軟調となりました。原油が軟調、金は堅調となったのですが、商品市況の動きはあまり影響がなかったようです。

 信用収縮懸念は一段落となった感もあるのですが、FOMCの態度次第、あるいは今後の金融規制の動向次第では金融引き締めと同じ効果が出てしまい、一段と信用収縮懸念が強まるものと思います。中国との政治的な摩擦や欧州での金融不安も解消されたわけでもなく、波乱要因となりそうです。ただ、下落のスピードが速かっただけにいったんは底堅い展開が続くと思われます。ダウ平均の10200ドル、ナスダック指数の2200水準を割り込むとまた一段と大きな下落となるものと思います。

 個別には金融規制懸念からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株が軒並み軟調となり、インテルなどハイテク銘柄の一角も中国の金融引き締めの影響が懸念されて軟調となりました。ただキャタピラーやアルコアなどは値ごろ感からの買戻しなども入り堅調となりました。好調な決算を発表したアップルは上値は重いものの堅調となり、同様に好調な決算を発表したトラベラーズんども高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が底堅かったにもかかわらず中国の金融引き締めのニュースで後場から急に売りが嵩みました。為替も一気に円高に振れる場面もあり、信用収縮懸念から売り急ぐ展開となりました。足元の業績は比較的好調なのですが中国など新興国が景気回復、業績回復の牽引役となっていたこともあり、中国での引き締めを嫌気する動きもあったものと思います。同時に欧州での金融不安や米国での金融規制懸念なども引き続き根強く、持高調整の売りもあったものと思います。

 米国市場が引き続き調整感が強まっていることや為替が円高に振れたことから、日本市場は引き続きもたついた展開となりそうです。決算発表が本格化するなかで業績の回復が見られるのですが、昨年12月からの上昇でここまでの業績改善は織り込まれたものと考えられ、先行きに対する懸念が強まると楽観的な見通しも穿った見方となって来るものと思われます。目先の需給も外国人買いが一服となると買い手が見当たらなくなり、新たな買い手が見られないと持高調整の売りなどに押されてしまうのでしょう。

 日経平均は節目と見られる10500円から600円水準を割り込んだことで次の節目である10100円台半ばから200円台半ば水準まで下落となる可能性もありそうです。ここのところの急落で目先的な過熱感は薄れて来たのですが、円高や中国のバブル崩壊懸念、米国の金融規制懸念、欧州の金融不安などから買い気に乏しい展開となりそうです。今度は戻りも上値が重くなり10500円〜600円水準が戻りの目処となり、昨年8月のもみ合いと同じ様な水準でしばらくもみ合いとなる可能性もありそうです。

本日の注目点

◇1月の金融経済月報(日銀)

◇12月の貿易統計(財務省)

◇世界経済フォーラム年次総会(スイス・ダボス、31日まで)

◇12月の米新築一戸建て住宅販売件数

◇決算・12月期:キヤノン(7751)

◇決算・4−12月期:ヤフー(4689)、日本電気硝子(5214)、日立建機(6305)、日野自動車(7205)、小糸製作所(7276)

◇決算・7−12月期:グリー(3632)

◇決算・10−12月期:米ユナイテッド航空、ボーイング、韓国LG電子

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