金融規制法案の発表で信用収縮懸念が増大、大幅続落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年01月22日 09時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10389.88▼213.27

<NASDAQ>2265.70▼25.55

<為替:NY終値>90.39-90.45

金融規制法案の発表で信用収縮懸念が増大、大幅続落

 前日の大幅下落の反動や好調な決算を発表した銘柄が多く、新規失業保険申請件数が予想以上に悪化したにも関わらず、買い先行で始まりました。ただ、寄り付きの買戻しが一巡した後はフィラデルフィア連銀景気指数も予想以上に低下したと伝えられたことから売りに転じ軟調となりました。加えて政府が新たな金融規制法案を発表すると一気に信用収縮懸念が増大、リスクマネーが一斉に手仕舞う動きとなり、商品市場も含めてリスク資産からの逃避の動きが一気に出て株式市場も大幅下落となりました。中国での金融引き締め懸念も強く、下げに拍車をかけました。

 決算動向は景気回復を示すものとして買い材料にはなるのですが、それ以上にリスク資産からの資金引き上げの動きが強まりました。それでなくても景気回復、企業業績の回復が鮮明になって「出口戦略」が取り沙汰されそうなところに、中国での金融引き締めから商品市況の需給悪化懸念が増大、そしてとどめの金融規制の発表ということで、景気回復の原動力となったバブル的な投機資金がはしごを外された格好となってしまったものと思われます。規制の内容がまだはっきりしないことからいったんは信用収縮の動きも収まると思われますが、リスク資産からの逃避の動きは続くものと思います。

 個別には好決算を発表していったん買い先行で始まったゴールドマン・サックスが一転大幅下落となるなど金融規制を嫌気して金融株が軒並み大幅下落、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカは大幅安となりました。商品市況も軟調となったことでアルコアやパブリック・ゴールド、ニューモント・マイニングなど素材株や資源株が大幅下落、シェブロン、エクソン・モービルといった石油株も軟調となりました。中国での金融引き締め懸念が根強くキャタピラーは連日の大幅下落、コカ・コーラやプロクター・アンド・ギャンブルといったディフェンシブ銘柄も軟調となりました。グーグルが堅調となるなど比較的ハイテク銘柄は底堅くなっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国など海外市場が大幅下落となるなかで、大幅高となりました。特に買い上がるような材料が出たわけでもないのですが、持高調整の買戻しを交えた買いも多く、リターンリバーサルの動きもあって指数を大きく押し上げたものと思います。日経平均採用銘柄の入れ替えもあることからの持高調整もあったのかもしれません。いずれにしても目先的な需給要因で指数が押し上げられたものと思われます。

 米国市場が大幅続落となったことや為替が円高に振れたことから売り先行となりそうです。昨日は持高調整と見られる買いが入り大幅高となりましたが、昨日のような買戻しが入らないと昨日の上昇分も含めた下落となってしまう可能性もありそうです。企業業績は回復傾向にあるのですが、信用収縮懸念から目先的な過熱感が気になるところであり、また輸出関連銘柄を中心に上昇となっていただけに円高傾向にあることで、収益上振れ期待が薄れ、手仕舞い売りが嵩んでしまうものと思います。外国人買いが入る場合でも出遅れ感が強い内需関連銘柄やディフェンシブ銘柄に分があるのではないかと思います。

 昨日は海外市場が大幅下落となった割りには大幅高となり、火曜日の高値水準を抜けるような場面もありました。ただ、さすがに10800円と言う節目を大きく抜けるところでは上値も重くなるようで、本日も10900円を超える場面があったとしてもそこからは上値が重くなり11000円までは行かないと思います。米国株安などを受けて大幅下落となる可能性が高く、引き続き10500円から600円水準の節目を目指すことになるものと思います。米国市場でいったん上昇トレンドが終わったとなると次は、過熱感を冷ます意味でも10100円台半ばから200円台半ばの次の節目を目指すことになりそうです。

本日の注目点

◇12月と09年の全国百貨店売上高(全国百貨店協会)

◇12月と09年の全国スーパー売上高(日本チェーンストア協会)

◇11月の全産業活動指数(経産省)

◇決算・4−12月期:養命酒製造(2540)、東京製鉄(5423)、マックス(6454)、安川電機(6506)、芝浦メカトロニクス(6590)、ジャフコ(8595)、沖縄セルラー電話(9436)

◇決算・10−12月期:東陽テクニカ(8151)

◇決算・10−12月期:米GE、英ソニー・エリクソン

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