会社や上司は守ってくれない……職場で生き残る方法吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年01月22日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

 私は、このような考え方に共感する。前回の深田氏の「上司から好感を持たれて、おいしい仕事を担当させてもらえるようにする」といった考えとも重なるものがあると思う。この連載で何度か述べたことだが、会社員は担当する仕事により、人事評価の内容が変わってくる(関連記事)。それが、その後の人事異動や昇進などにも影響を与える。つまり、部下の会社員人生を生かすも殺すも上司しだいなのだ。決して「自分の職務遂行能力が高ければ、なんとかなる」などと思わないこと。その職務遂行能力を発揮できないように仕向けることも、上司はできるのだから。

 さらに下田氏は上司の趣味趣向を理解し、親しくなることも勧める。ただし、たとえそのような間柄になっても「上司が自分を守ってくれる、とは思わないほうがいい。それが依存心につながり、自らの成長を妨げる」とも言う。ドライな考えだが、この点も私は同感だ。

仕事において上手く頭角を現すには

 下田氏は、このように職場でのインフラ(上司などとの良好な関係)を整えたうえで、仕事においても上手く頭角を早く現すことを勧める。

 「特定分野で、第一人者としての地位を確立させることが大切です。ライバルがいる場合は、相手の力を早い段階で見極め、自分が劣るようであれば、違う分野で自己研さんに励むことが得策でしょうね。社外で活躍するエキスパートと異業種交流会などを通して親しくなり、その人のサポートを得ることで自らのポジションを確立させるのもいいでしょう」

 自分を効果的にアピールする仕方にも話は及んだ。「将来、有望かつ自分とウマが合う人を見つけ、その人の育成を担当するべきです。その際、自分の苦手分野の業務をお任せするとなおいいでしょうね。さらに、その人がこのような育成を受けていることを周囲に話すように仕掛けることも大切かと思います。そのためには、まずは自分が『(育てようとしている人の)能力が高い』といろいろな場で話すといいでしょう。きっと、その人もよい噂を流してくれるようになりますよ」

 下田氏は競争の激しいコンサルティング会社に勤務していたこともあり、職場で生き抜く技術をよく心得ている。しかし、この技術を理解していない人は、こういった言葉をよく口にする。「職場での噂や周囲の評価は関係ない。やることをやっていればそれで大丈夫」。「今は成果主義の時代。実績を出していれば、上司や周りはどうでもいい」と。

 この人たちを私が観察していると、4つの特徴があることに気がつく。

(1)会社員経験が浅く、組織の中でもまれたことがあまりない。

(2)人と関わることを嫌がる。

(3)ほんの少しの成果を出すと、「自分が優秀」と思い込む。周囲のレベルを把握できていない。

(4)その仕事も実は、上司などの支えがあってできたことを理解していない。

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