私が、テレビや新聞に“呼ばれなくなった”ワケ上杉隆×小林弘人「ここまでしゃべっていいですか」(4)(4/4 ページ)

» 2010年01月22日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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「上杉は反社会的行為を行っている」という人たち

上杉 実はもっとヒドイ局があって、そこは「上杉は反社会的行為を行っているので、注意するように」といった内容を口頭で伝えています。これを聞いたそのテレビ局の知人は「おまえが、痴漢かなにかをしたのかと思った」と言ってきましたね。

 でもこうして仲のいい人は連絡してくれるのですが、ほとんどの人は私のことを知らない。なので会社の幹部や上司に「上杉は反社会的行為を行っている」と言われれば信じてしまう。またこの内容を信じていなくても、上の方からこのような通達がくれば、わざわざ冒険までして上杉を使おうとはしないはず。正々堂々と「上杉とは記者クラブ問題でもめているから、使わないように」と言われる方がずっとましです。

小林 そうですよね。反“社会”行為じゃなくて、反“俺の会社”行為なのに。

上杉 ただテレビでは「記者クラブ」という言葉を使ってはいけないので、このようなヘンな言い回しになってしまう。このほかにもテレビ局だけが自粛している、いわゆるNGワードがあります。例えば「2ちゃんねる」と言ってはいけない。「巨大掲示板」と言いますから。また「YouTube」についても「動画投稿サイト」などと呼んでいます。

小林 確かに、聞いたことないですね。

上杉 なぜ彼らはこのように呼ぶかというと、その存在を認めるわけにはいかないから。新メディアは自分たちの利益が重なり、例えばYou Tubeだと放送権の関係など既得権益の崩壊につながると思い込んでいる節がある。海外のメディアであれば存在するものに対しては、敵だろうが味方であろうが、都合のよいものであろうがなかろうが、きちんと固有名詞で語ります。そうでないと視聴者に伝わらないからです。

 これはテレビ局だけではなく、新聞社も同じようなことをしていますね。もし『サイゾー』がスクープをとっても、新聞は「一部月刊誌によると……」といった書き方をします。ヒドイのになると「……ということが分かった」と書く。こうしたことは“さもしい”というか、同じ土俵に立たず無視することで、自らの地位を有利に保とうとしている。でも、逆に言うと、同じ土俵にすら立てない恐怖感の塊のようなものが“ある”と、バレてしまうことになるのですが。

 第5回へ続く

上杉隆(うえすぎ・たかし)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。富士屋ホテル勤務、NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年にフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。

官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『小泉の勝利 メディアの敗北』(草思社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など著書多数。


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