小林 陰湿なディスクロージャーだ(笑)。僕はメディアから講演会などをよく頼まれるのですが、「彼らはマゾじゃないかな」と思うことがしばしあります。例えば主催者から「今日は自分たちのダメなところをガンガン話してくださいね」と頼んでくる。しかし、決裁権のない人たちにガンガン言ったところで、何も変わらないでしょう。
本気で変えるなら、その人達は飛び出すか、クーデター覚悟でしょうが、そこまで会社員が自分を追い詰める必要もない。もし飛び出したいのなら資金調達方法とか教えますが、その場でガンガン言ったところで、それは言葉攻めプレイの一種ですよ。あいにくその趣味はなくて……(笑)。
上杉 彼らにとって、小林さんの話はいわゆる“ガス抜き”なわけですね。
小林 「米国の最新事例を紹介していただき、いかに日本のメディアがダメであるかを言ってください」といった感じ。でも、ダメなものに国籍は関係ありません(笑)。
上杉 「あなたたちはダメだ」と言ってもらうことで、彼らはスッキリしているんでしょうね。「やっぱりこのままじゃあ、いけないんだ」と感じながら、行動には移さない。
小林 最新事例ばかり溜め込んでも、妄想が膨らむだけですよ(笑)。
上杉 “メディアプレイ”ですね(笑)。
小林 さしずめ、こちらは女王様……(笑)。
上杉 さきほど「洗脳」と言いましたが、いくら彼らをひやかしてもダメなのかもしれませんね。私は徐々にあきらめモードになっていて……。政権交代以降、記者クラブの批判を続けてきたら、新聞やテレビから仕事の依頼が来なくなった。
小林 そうなんですか?
上杉 CS放送では『ニュースの深層』(朝日ニュースター)という番組でキャスターを務めていますが、新聞への登場はゼロ。新聞記者からよく取材を受けるのですが、それが記事になることはありません。なぜなら原稿に「上杉」と書いてあれば、上の方のエライさんがボツにするから。または私への取材は現場の記者が行うため、原稿を書く段になってエライさんが削除することもあります。
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